共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

シベリア先住民族諸言語のテキストコーパス構築と文法及びその構造的変化に関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K00564
体系的課題番号
JP19K00564
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

本研究は、北東シベリアの古アジア諸語のひとつである、コリマ・ユカギール語およびアリュートル語の様々なテキスト資料を集積し、形態論情報および統語論情報(文法関係、修飾・被修飾関係など)を付加したコーパスを構築すること、同時に、まだあまり研究の進んでいないこれらの言語に関する、より詳細な文法 記述を行うことを主たる目的とするものである。研究計画期間の3年目にあたる2021年度は、以下のような活動をおこなった。
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1.コリマ・ユカギール語テキスト資料に対して、特に主節の述語を構成する要素に対する情報付与の方針を検討し、コーパスに組み込む作業をおこなった。また、昨年度に引き続き、19世紀末に収集されたテキスト集である、Jochelson(1900)所収のコリマ・ユカギール語テキストの英訳を行った。
2.1に基づき、先行研究において「迂言的過去(periphrastic past)」と呼ばれ、過去の状況を表す際に任意的に用いられるとされてきた表現についてコーパス調査をおこなった。結果として、①この表現は必ずしも過去の状況を表す際に用いられるわけではなく、「説明」「確信」「程度の甚だしさ」といった意味を伴う文、あるいは「内容疑問文」で用いられており、話し手による命題内容の捉え方に関わる機能をもつと考えられること、②しかしながら、収集年代を19世紀末と20世紀半ば以降に分けて用例を比較すると、次第に過去の状況に対する使用頻度が増加していること、③過去の状況に対する使用頻度の増加には、コリマ・ユカギール語の接触言語であるエウェン語東方言が影響を与えた可能性のあることを明らかにした。
3.既刊のアリュートル語テキスト20編にグロスと品詞情報を付した。また、過去に収集した未整理のコリヤーク語およびアリュートル語音声資料を整理・分析し、新たに露訳を付した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K00564
ID情報
  • 課題番号 : 19K00564
  • 体系的課題番号 : JP19K00564

この研究課題の成果一覧

論文

  3

書籍等出版物

  2

講演・口頭発表等

  3