Research Projects

Apr, 2021 - Mar, 2026

ポーランド初等教育の美術における技法、材料、指導法についての調査研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

Grant number
21K02449
Japan Grant Number (JGN)
JP21K02449
Grant amount
(Total)
3,250,000 Japanese Yen
(Direct funding)
2,500,000 Japanese Yen
(Indirect funding)
750,000 Japanese Yen

2021年度についてはポーランドで使用されている小学校の美術の教科書を入手し、その内容をもとにどのような技法や材料をもちいて美術の授業が行われているかについて研究を行った。
教科書で不明な部分はポーランドの現役小学校教員3名にオンラインで聞き取り調査を行った。その結果、具体的な指導方法についても日本とポーランドにおける共通点、相違点等が明らかとなった。
技法研究においては、ポーランドは特に版画が盛んな国であるため、初年度においては特に版画技法について中心に研究を行った。日本では小学校で扱うことのない銅版画(エッチング等)についての記述も教科書にあり、凸版、凹版、孔版、平版など様々な版種について扱うことがわかったが、2021年度はそのなかでも特にリノカットという技法に注目をした。
リノカットという技法が世界では最も多く制作者がおり、世界的には主流な版画技法でありながら日本ではほとんど行われていない技法である。リノカットは木版画と同じ凸版で、木粉と石粉、コルク粉などを亜麻仁油で練り、酸化によって硬化させたリノリウムを版材とする版画技法で、日本の小学校図画工作で使用される木版画用の彫刻刀で容易く彫ることができる。バレンや足踏みなどで刷ることができ、プレス機を用いれば紙にエンボス(凹凸)をつけて刷ることもできる。
版画技法の多くは腐食槽や換気設備など専門の設備を必要とするが、リノカットは用具が安価で特殊な用具も不要であり、ピカソなどの近代作家から現代の作家も使用している技法であるため、学校教育に取り入れやすく、また、取り入れる価値のある技法と考えられる。
学校教育に取り入れることを想定して、日本で入手可能なリノリウム、インクなどを試し、技法研究を行った成果を大学美術教育学会の論文で発表した。

Link information
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K02449
ID information
  • Grant number : 21K02449
  • Japan Grant Number (JGN) : JP21K02449