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研究紹介

当研究室では微生物を産業に役立てる「応用研究」を主に行っています。
特にその一番上流に位置する「スクリーニング」に力を入れています。

1)自然界から特殊能力を持った微生物を探し・・・
→スクリーニング

2)その能力を鍛え上げ
→(分子)育種

3)産業に役立てる

上記の3つを柱として、種々の有用微生物の検索を行っています。

 


 

油脂系バイオマスの高度利用化技術

 

バイオディーゼル燃料生産時の廃棄物(グリセロール)の高度利用を目的とした新規微生物の検索を行っています。
目的物質としてはエタノール、1,3-プロパンジオールの生産を目指します。特に、1,3-プロパンジオール生産菌(TB-96株)はエタノール生産株(TB-83株)のパイロットスケール試験中にコンタミしてきた菌で、極めて生育が早く強靱な菌なので、実用化が期待されます。培養条件の検討や突然変異体の選別などの古典的手法(組換えを使わない→低コスト)と、ゲノム情報と代謝情報を駆使した遺伝子操作による生産性向上の両面から検討しています。さらに、酵母との協働による1,3-プロパンジオールからアクリル酸の前駆体である3-ヒドロキシプロピオン酸への変換にも挑戦しています。



 

テレフタル酸分解菌

テレフタル酸はPETの原料であり、同時に廃棄物でもあります。PETの需要増大に伴い、大量のPET廃棄物の処理が問題になっています。
PETベースのフィルムの表面加工を剥離してPET樹脂を再生する際に生じるテレフタル酸を分解する菌を見つけ、実際に処理量の大幅な向上に成功しました。
本菌株(TB-97)株は好アルカリ、好塩性の新規微生物で、新種の可能性が高いです。
現在はテレフタル酸からの高付加価値化合物の微生物生産を目指しています。

 

有用物質生産メタン資化性菌のスクリーニング

 

高濃度有機系廃棄物の有効利用法として「メタン発酵」が既に普及しています。しかし、生じたメタンは燃料にしかなりません。メタンガスを食べる微生物「メタン資化性菌」を用いて、ここから様々な化合物を作れれば、様々な廃棄物から「メタン」を共通通貨としたバイオリファイナリーが構築できます。
メタン資化性菌の取り扱い、特に自然界からののスクリーニングには特殊な技術と経験が必要です。
私自身は博士課程の学生時代(30年前 orz)から取り扱ってます。Methylocystis sp. M株といいますが、分離に半年以上かかりました。