共同研究・競争的資金等の研究課題

2001年 - 2002年

組合せ論の位相幾何学的側面からの研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
13640134
体系的課題番号
JP13640134
配分額
(総額)
3,200,000円
(直接経費)
3,200,000円

平面グラフの組合せ的性質として,cyclic chromatic numberに関する研究を行ない,最大次数が十分に大きければ,その最大次数プラス1色で塗り分けられることを示した.一般の閉曲面における局所二部グラフの彩色においては,その閉曲面が向き付け可能かどうかによって,彩色数に違いが出ることを発見し,とくにトーラス,クラインの壺の四角形分割については,染色数が3,4になるための位相的特徴づけを与えることに成功した.さらに,一般の向き付け不可能な閉曲面においても,染色数が5になってしまうグラフの特徴づけを行なった.
閉曲面の三角形分割については多くの研究がある.とくに,頂点数が等しい2つの三角形分割は,それらの頂点数が曲面の種数に比べて十分大きければ,対角変形と呼ばれる局所的な変形で移り合うことがわかっていた.その際に必要となる対角変形の回数について,多重グラフとなる三角形分割(擬三角形分割と呼ぶ)までをこめて考えることにより,頂点数の線形関数で抑えられることを証明した.また,これまで三角形分割や四角形分割でしか考えられていなかった対角変形を,各種のサイズの面が存在するような一般的なグラフに拡張し,ある程度三角形分割に近ければ同様の事実が成り立つことを証明した.対角変形の可否との関係において,すべての辺がある特定の次数dの頂点を少なくとも一方の端点に持つような三角形分割(d-covered)を考え,5-covered,6-coveredであるような三角形分割の構成的な特徴づけを与えた.
閉曲面上のrepresentativityの高い3連結グラフが含む全域部分グラフとなる平面グラフを得る一般的手法を用いて,3連結グラフがどの程度ハミルトン性に近い性質を持つか,という研究を継続した.その結果として,既存の結果を改良し,最大次数7以下の全域2連結部分グラフで,次数7以上の頂点の個数が種数だけに依存する数で抑えられるものが存在すること,最大次数4以下の全域木で,次数3以上の頂点数がグラフの頂点数のほぼ1/3で抑えられるようなものが存在することを示した.
その他,空間グラフのラムゼー性に関する既存の研究成果の見直し,グラフの分割問題,三角形分割の再埋蔵と着色に関連する不変量loosenessに関する研究,被覆グラフの平面性に関する研究などを行ない,成果を上げた.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-13640134
ID情報
  • 課題番号 : 13640134
  • 体系的課題番号 : JP13640134