これまで海馬CA3は、再回帰性回路の特性により、その大多数が空間情報をコードして、非空間情報についてはほとんどコードしないと考えられてきた。しかし我々は、海馬CA3での空間情報と非空間情報（音や匂いなど）の表現型が、CA3の横断軸 (transverse axis, proximodistal axis) に沿って、明確に二分されるという驚くべき発見をした。これは、最初期遺伝子Arcによる分子イメージングを用いて、非空間情報（匂いの再認記憶課題による）の表現型から明らかにしたものであった。さらに、CA3の活動パターンがCA1と鏡像関係であることを示した。これらの知見から、CA3の機能分化はCA1のものと鏡像関係であり、非空間情報の記憶を処理する海馬Proximal CA3-distal CA1の小ネットワークが存在することを示唆した。