共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

LDM/CYP51の髄鞘再生促進機構の解明に基づく脱髄疾患の新たな治療基盤の探索

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
19K16623
体系的課題番号
JP19K16623
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

本研究の目的は、コレステロール合成に関与する唯一のチトクロムP450であるLanosterol 14α-demethylase(LDM、CYP51)の髄鞘再生過程でのコレステロール代謝制御における機能的意義を見出し、多発性硬化症に代表される脱髄性疾患での髄鞘再生促進による新たな治療ターゲットを探索することである。これまでに我々は、オリゴデンドロサイト特異的にLDMを高発現するトランスジェニックマウス(LDM-Tgマウス)を作成し、cuprizone 投与による実験的脱髄とその後の髄鞘再生過程を解析した結果、野生型マウスと比較して顕著な脱髄の軽減と髄鞘再生の促進が認められることを見出している。
2019年度は当初の計画通り、cuprizone投与により実験的脱髄を誘発させた野生型マウスとLDM-Tgマウスを用いて、コレステロール代謝関連分子の生化学的・免疫組織学的解析を進めた。その結果、野生型マウスではコレステロール合成関連分子の発現制御を担う転写因子であるsterol regulatory element-binding protein 2 (SREBP2)の脱髄期における活性型の増大と髄鞘再生初期におけるその減少が明らかとなった。活性型SREBP2は、HMG-CoA還元酵素やsqualene synthaseなどのステロール調節配列を持つコレステロール合成関連遺伝子の転写を促進することが知られており、脱髄期以降に、これらコレステロール合成関連分子の発現増大が観察されたことからも、髄鞘再生期におけるコレステロール合成がSREBP2により制御されている可能性が示唆された。また、LDM-Tgマウスでは、同様の発現変動が見られたものの、野生型に比べてその程度が小さかったことから、脱髄の程度に依存したコレステロール合成制御がおきているものと考えられた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K16623
ID情報
  • 課題番号 : 19K16623
  • 体系的課題番号 : JP19K16623