2018年4月 - 2021年3月
遺伝学と生理学の融合によるヒト寒冷適応進化の実証研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
ヒトにおける重要な熱産生組織の一つである褐色脂肪組織の活性に相関するゲノム領域を同定するべく、(北海道在住の成人男女)を対象に、FDG投与とPET-CTによる褐色脂肪組織活性の測定とゲノム試料の収集を実施した。Axiom ジャポニカアレイをもちいて約66万座位のSNPの遺伝型を判定し、さらに、東北メディカルメガバンク機構のスーパーコンピューターをもちいたインピュテーション解析(実験的に遺伝型判定をしていない多型部位の遺伝型情報を、多人数の全ゲノム塩基配列を参照して復元する手法)を実施した。これまでに、およそ360名分のジャポニカアレイ解析およびインピュテーションが完了しており、これらデータを用いた予備的な解析では、12番染色体上にゲノムワイド関連解析における有意水準をクリアしたSNPを検出している。このゲノムコホートデータを用いて、今年度までの進化遺伝学解析で同定された寒冷適応候補SNP群について、褐色脂肪組織活性への寄与を検証中である。
加えて、人工気候室実験による寒冷曝露実験コホートを実施した。今年度は既に収集済みのおよそ50名分の生理反応データとゲノム試料とを用いて、寒冷適応に関係した自然選択をうけたと考えられるTBX15遺伝子およびTRIB2遺伝子のSNPについて、寒冷曝露時の生理反応との関連を調査した。その結果、両遺伝子とも寒冷曝露時の鎖骨上窩の皮下温度変化の個人差と関連することを見出した。鎖骨上窩は褐色脂肪組織の代表的な局在部位であるので、これらの遺伝子も褐色脂肪組織の機能に影響を与えていることが示唆された。
加えて、人工気候室実験による寒冷曝露実験コホートを実施した。今年度は既に収集済みのおよそ50名分の生理反応データとゲノム試料とを用いて、寒冷適応に関係した自然選択をうけたと考えられるTBX15遺伝子およびTRIB2遺伝子のSNPについて、寒冷曝露時の生理反応との関連を調査した。その結果、両遺伝子とも寒冷曝露時の鎖骨上窩の皮下温度変化の個人差と関連することを見出した。鎖骨上窩は褐色脂肪組織の代表的な局在部位であるので、これらの遺伝子も褐色脂肪組織の機能に影響を与えていることが示唆された。
- ID情報
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- 課題番号 : 18H02515
- 体系的課題番号 : JP18H02515