共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2023年3月

iPS細胞技術及び患者臨床情報を用いた精神疾患の分子病態の多階層解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
21H00213
体系的番号
JP21H00213
配分額
(総額)
7,800,000円
(直接経費)
6,000,000円
(間接経費)
1,800,000円

これまでの研究で3q29欠失変異やPOGZ点変異により神経細胞の分化・発達異常および精神行動に障害が生じることを見いだしているが、その詳細な分子メカニズムは未解明であり、本研究では、その分子メカニズムを包括的に明らかにする計画である。具体的には、①分子神経科学的手法による神経機能の解析、および②電気生理学的手法による神経機能解析を包括的に実施し、患者iPS神経細胞の機能異常を明らかにする。さらに、トランスオミクス解析等、種々の解析により分子仮説を導きだし、その詳細な分子基盤を明らかにする。さらに、導き出した分子仮説の操作により、3q29欠失変異やPOGZ点変異マウスの精神疾患様行動異常が回復するか調べる計画である。本年度は、POGZ遺伝子座にde novo点突然変異を持つ患者から樹立したiPS細胞由来分化神経細胞を用いた解析を実施した。具体的には、POGZが転写調節因子であることが示唆されることから、POGZにより直接的に転写調節される遺伝子をChIP解析により網羅的に調べた。ChIP解析により抽出された遺伝子群のGene Ontology解析を実施したところ、iPS細胞由来の神経幹細胞や幼若神経細胞において、POGZが神経細胞の発達に関与するタンパク質をコードする遺伝子群、樹状突起の発達に関与するタンパク質をコードする遺伝子群、神経栄養因子の応答に関与するタンパク質をコードする遺伝子群の転写を直接的に制御する可能性があることが明らかになった。これらの標的遺伝子群が関与するシグナルネットワークを包括的に明らかにすることにより、精神疾患の分子病態の一端が明らかになることが期待される。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-21H00213
ID情報
  • 課題番号 : 21H00213
  • 体系的番号 : JP21H00213