2016年4月 - 2020年3月
IRTを用いた自尊感情測定に関する基礎的研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
自尊感情(Self-esteem)は多くの研究に用いられる概念である。その測定は心理尺度を用いて行われることが多いが,本研究はその心理尺度を用いた測定に関する諸課題について検討を行うことを目的としている。
2018年度は,2017年度までの成果等をふまえ,Rosenberg(1965)の自尊感情尺度の翻訳間の差異を中心にした測定上の課題について検討を行った。具体的には,2017年度の成果(並川,2018)なども踏まえ,日本で多く用いられているRosenberg自尊感情尺度の翻訳版3つ(星野,1970;桜井,1987,山本・松井・山成,1982)をとりあげ,比較を行った。まず,3つの訳を組み合わせた9種類の項目セットを作成し,1800名を対象にあらためてデータ収集を行い,項目反応理論(Item Response Theory)を適用した分析を行った。その結果,項目パラメタの比較などから,同じオリジナル版項目の翻訳であっても項目の表現によって差異が生じ,自尊感情の測定に影響を与えている可能性が指摘された。項目の平均値にも訳による差異がみられ,訳による違いが合計得点の高低にも関連している可能性が示唆される。さらに,訳によって10項目のテスト情報量等も異なることが示された。今回は,項目の表現のみに焦点を絞った分析ではあるものの,表現によるパラメタの違いなどは今後の尺度作成や尺度の翻訳などにも活用可能な資料になりうると考えられる。
2018年度は,2017年度までの成果等をふまえ,Rosenberg(1965)の自尊感情尺度の翻訳間の差異を中心にした測定上の課題について検討を行った。具体的には,2017年度の成果(並川,2018)なども踏まえ,日本で多く用いられているRosenberg自尊感情尺度の翻訳版3つ(星野,1970;桜井,1987,山本・松井・山成,1982)をとりあげ,比較を行った。まず,3つの訳を組み合わせた9種類の項目セットを作成し,1800名を対象にあらためてデータ収集を行い,項目反応理論(Item Response Theory)を適用した分析を行った。その結果,項目パラメタの比較などから,同じオリジナル版項目の翻訳であっても項目の表現によって差異が生じ,自尊感情の測定に影響を与えている可能性が指摘された。項目の平均値にも訳による差異がみられ,訳による違いが合計得点の高低にも関連している可能性が示唆される。さらに,訳によって10項目のテスト情報量等も異なることが示された。今回は,項目の表現のみに焦点を絞った分析ではあるものの,表現によるパラメタの違いなどは今後の尺度作成や尺度の翻訳などにも活用可能な資料になりうると考えられる。
- ID情報
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- 課題番号 : 16K17308
- 体系的課題番号 : JP16K17308