共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

葉形質の種内変異は環境順化能力にどのように影響するか?

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(B)

課題番号
20H03316
体系的課題番号
JP20H03316
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
18,070,000円
(直接経費)
13,900,000円
(間接経費)
4,170,000円

環境変動に対する生態系の応答が注目されるが、どのような植物がどこまで順化できるのかを正しく説明できる理論は未だ導かれていない。本研究では葉の厚さおよび光合成能力の順化能力が種内でどのように変異しているかを調べ、これらの順化能力に関連する形質・環境・遺伝子を明らかにしたい。材料には日本で最も優占する広葉樹種と針葉樹種であるブナとスギおよび、モデル植物のシロイヌナズナを用いている。ブナについては日本国内で緯度の異なる10サイトから集めた集団を生育する北海道大学苫小牧研究林共通圃場で5集団について、スギについては、同様に14サイトから集めた集団を生育する筑波大学に設けられた共通圃場で6集団について、被陰実験を行なっている。シロイヌナズナについては、世界各地で集められたエコタイプ種子をリソースセンターから取得し、人工気象機内の2つの生育光強度で共通圃場実験を行なっている。葉の厚さについては、レーザー変位計とアクチュエーターを利用した測定法を導入し、厚さの葉内分布の測定を可能とした。光合成能力については、他サンプル同時測定機を導入している。ブナでは葉脈のない部分の葉の厚さだけで比べると、低緯度由来ほど厚い傾向はあるものの、葉脈も含めて測定した厚さほどのエコタイプ間差は見られないことがわかってきた。1年間の被陰処理により、全エコタイプで葉の厚さは薄くなったが、現在のところ厚さの可塑性のエコタイプ間差は見られていない。現在までの結果は、低緯度由来のエコタイプは、高い気温と蒸散に耐えるために、葉サイズを小さくして、葉脈の太さと密度を高めている事を示唆している。スギについては、針葉断面の縦横比に集団間差があることを示唆する結果が、シロイヌナズナではエコタイプ間での葉の厚さの違い、光応答時の厚さの変化の違いが出始めており、各生育条件での葉の各形質や由来地の環境データとの関連等を解析中である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H03316
ID情報
  • 課題番号 : 20H03316
  • 体系的課題番号 : JP20H03316