共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2023年3月

風の海面摩擦係数における波浪・風速変動の影響

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H01284
体系的番号
JP18H01284
配分額
(総額)
17,550,000円
(直接経費)
13,500,000円
(間接経費)
4,050,000円

大気・海洋間運動量フラックス算出に用いられる風の海面摩擦係数は一般的に風速のみの関数で表されているが、海洋観測での風速に対する風の海面摩擦係数値は大きく変動している。本研究の目的は、風波水槽およびブイ観測の両手法によって波浪や風速変動の影響を明らかにすることで信頼性の高い風の海面摩擦係数モデルを構築することである。平成30年度は、(1)小型の大気乱流・波浪同時計測ブイの構築、(2)風波水槽での風波と成分波混在状態の再現、(3)タワー観測データの解析に着手した。成果は以下の通りである。
(1)小型の大気乱流・波浪同時計測ブイの構築:開発した小型の大気乱流計測ブイを改良し、GPS波浪計測システムを装備して、小型の大気乱流・波浪同時計測ブイを構築した。そして、東京大学所有の平塚沖総合実験タワー付近での観測準備を行った。
(2)風波水槽での風波と成分波混在状態の再現:風波水槽に設置されている造波装置により成分波を生成し、風波と成分波混在状態を再現するこに成功した。さらに3種の周波数の成分波および低・中・高風速において、風の海面摩擦係数におよぼす成分波の影響を解析した結果、低・中風速では成分波が混在すると風の海面摩擦係数が増加し、高風速では風の海面摩擦係数に変化は見られないことがわかった。
(3)タワー観測データの解析:平塚沖総合実験タワーの超音波風速計データを用いて風の海面摩擦係数の変動について解析を行った結果、高風速域では風速変動、低風速域では風向変動が影響しており、風速変動だけでなく風向変動も風の海面摩擦係数に影響をおよぼしていることが新たに判明した。また、平塚沖総合実験タワー周りの風の流れについて風洞実験および数値シミュレーションにより、タワーの影響も示した。
数種の全球規模風速データセットの精度比較を行うことで、風の海面摩擦係数の信頼性の高いモデル化の構築の必要性を示した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H01284
ID情報
  • 課題番号 : 18H01284
  • 体系的番号 : JP18H01284

この研究課題の成果一覧

論文

  4

講演・口頭発表等

  15