共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

DNAメチル化に着眼した母体高血糖によるエピゲノム記憶の解析と先制医療への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K11642
体系的課題番号
JP19K11642
配分額
(総額)
3,120,000円
(直接経費)
2,400,000円
(間接経費)
720,000円

出生前後の肝臓は一連の栄養環境の変化と併行し、造血臓器から代謝臓器に機能成熟する。また受精以後の様々な母体環境要因が、エピゲノム変化としてゲノム上に記憶され、成人期まで維持されることにより健康・疾患発症に関連すると考えられている。本研究ではDNAメチル化に焦点をあて出生仔の代謝表現型に及ぼす母体高血糖の影響とその機序を解析した。
ストレプトゾトシンにより高血糖を誘導した母体からの出生仔は低出生体重を呈するが、出生2日目から16日目にかけて肝臓においてクロマチン凝集やDNAメチル化に関連する遺伝子群の発現が対照仔マウスと比し有意に変化することを網羅的解析により確認した。
本結果から母体高血糖による出生仔の代謝異常にDNAメチル化が関与していることが示唆され、出生前後のマウス肝臓における糖脂質代謝遺伝子の発現とDNAメチル化の変化について網羅的な解析を行った。その結果、出生前後の肝臓では遺伝子発現、DNAメチル化ともに劇的な変化が生じることを見出し、DNA脱メチル化・発現が上昇する遺伝子群の制御因子としてHNF4α,FOXO1, PPARα, SREBP1/2 などの複数の転写因子群を同定した。特にHNF4αは乳仔期のDNA脱メチル化される遺伝子の制御因子として最上位の有意な遺伝子となったが、Spectrometry of Endogenous Protein(RIME)法によりHNF4αの転写複合体の構成分子としてCTCFL、SFPQなどのDNA メチル化とヒストン修飾に関連する蛋白質の同定に成功した。
これらの結果を踏まえ母体高血糖による出生仔の代謝異常における転写因子の関与について生体レベルでの解析を進めたいと考えている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K11642
ID情報
  • 課題番号 : 19K11642
  • 体系的課題番号 : JP19K11642