2014年6月30日
「塩津港遺跡起請文札から考える神祇信仰の地域性と重層性」
『祭祀考古学』
- 巻
- 号
- 8号
- 開始ページ
- p1
- 終了ページ
- p10
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- 祭祀考古学会
滋賀県の塩津港遺跡は、平安時代の神社の実態に迫りうるものである。その中でも平成19(2007)年に発見された起請文札は、近江国内の神祇信仰を考える上できわめて注目される。起請文札で神の名を記した神文は、王城→国内→郡内→地域内、という階層によって秩序立てられているが、国内鎮守の筆頭は当時すでに二十二社に列していた日吉社であった。同社は、王城鎮守としてのそれのみが注目されがちだが、近江国内の信仰の中には、日吉社の位置付けが確立されていたことも重視される。もっとも、この国内の信仰は、9世紀半ばに確認され…