2012年6月
母子世帯の所得変動と職業移動:地方自治体の児童扶養手当受給資格者データから
社会政策
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- 巻
- 4
- 号
- 1
- 開始ページ
- 97
- 終了ページ
- 110
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- 社会政策学会誌(ミネルヴァ書房)
母子世帯への社会政策は,児童扶養手当による所得保障を重視する政策から,就労による自立を強調する政策へ転換した。児童扶養手当は離婚後等の激変期に対応するものとされ,手当の支給開始から5年で手当を減額する規定が2002年に導入された。果たして5年で就労収入は増加するのか,地方自治体の児童扶養手当受給資格者データをもとに,所得変動と職業移動につき検証した。その結果受給資格者の所得水準は低位であり,生活保護の最低生活費に満たない世帯が8割である。所得変動は5〜6割が固定的であり,課税所得がない階層での固定化・再生産の強さは近年高まっていた。5年間で所得の上昇が見込まれる層は限られ,所得が下降する比率はより低位な階層のほうが高かった。経過年数のみで手当支給の可否を判断する行政措置は,貧困のさらなる固定化を強める危険性が高く,再検討が必要である。
- リンク情報
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- CiNii Articles
- http://ci.nii.ac.jp/naid/110009517684
- CiNii Books
- http://ci.nii.ac.jp/ncid/AA12356737
- ID情報
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- ISSN : 1883-1850
- CiNii Articles ID : 110009517684
- CiNii Books ID : AA12356737