論文などのメモ

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2014/12/31

お知らせ

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このスペースは2014年6月より、「論文などのメモ」として運用しています。

「論文など」には、狭義の学術論文だけでなく、雑誌の記事や新書なども含みます。
取り上げる範囲が広いため、雑多な印象があると思いますがご容赦ください。

基本的には、読んだ論文などのごく簡単なメモ(書誌情報および概要)です。
目標として、1日1件の更新を目指しています。
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2014/08/12

塚原・美馬 「ポスト・ノーマル時代の科学者の仕事」(2014)

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塚原東吾・美馬達哉
「ポスト・ノーマル時代の科学者の仕事」
『現代思想』
第14巻第12号(2014年8月)、46-77頁。 


特集「科学者」の中の長編対談。
対談なので色々なことが言われているが、全体としては、
科学を取り巻く大きな環境変動の中でSTAP細胞事件を捉えよう、という趣旨。

塚原の論点は大きく二つある。
a. この事件では、本来なら失墜するはずの科学的権威がむしろ強化されているが、
これは3.11後に特に強化された科学技術の国家的動員(アベノミクス)を背景として
理解されるべきではないか。
b. それと同時に、STAP細胞事件では科学論・STSが蚊帳の外に置かれているが、
これは日本型STSが科学者と市民を取り持つことを目指してきた結果、
かえって3.11後に信頼を失ってしまったことの帰結なのではないか。

美馬の論点は、基本的には一つ。
c. STAP細胞事件の背後には、過度な業績評価(IFによる論文評価)、研究倫理、
ポスドクの就職難、産学連携など、生命科学研究を取り巻く種々の問題があるが、
これらは80年代(日本では90年代)に始まる科学者の労働環境の変化
(プレカリアート化、認知労働重視など)に一致するのではないか。

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2014/08/11

小林「ブラックボックス化の図像学」(1998)

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小林信一
「ブラックボックス化の図像学」
嶋田厚・柏木博・吉見俊哉編
『情報社会の文化3 デザイン・テクノロジー・市場』
(東京:東京大学出版会、1998年)、103-131頁。


前半では、テープレコーダーやテレビなどの取扱説明書を材料として、
科学技術のブラックボックス化がどのように進んでいったかを考察する。
回路図や配置図の有無が修理の問題と関わっていることに気づかされる
(著者がこの点を特に強調しているわけではないのだが)。

後半は、ブラックボックス化をもたらした半導体技術の進展について検討している。
ここでは特に、1980年代前半におけるLSIの普及について、
(1)機械的制御や信号処理が代替されるケース(消費者から見れば大差は生じない)
(2)半導体によって誕生・成長したケース(VTRなどの新しい家電製品)
という二つの型があると指摘される。

以上の分析から、著者は最後に次のように論じている:
「かくして科学技術と社会の相互関係には新しいモードが出現した。
古いモードでは、人々は生活環境の改善のために家電製品などの技術を
自覚的に家庭製品に導入した。しかし、新しいモードでは、
人々の科学技術環境への無自覚な適応が進行する。」

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以上は大変重要な問題提起になっていると思うが、十分論じつくせていない感がある
(特に、「図像学」と題しているものの、その観点からの考察はあまり深くない)。
この主題でモノグラフが一つぐらい書けるのではないか。というより、
そういうことを論じている本がすでにあっても不思議でないように思うけれども。


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2014/08/08

山口「科学技術白書の分析に基づく産学連携関連施策の変遷」(2008)

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山口佳和
「科学技術白書の分析に基づく産学連携関連施策の変遷」
『産学連携学』
第4巻第2号(2008年)、54-65頁。


基本的に表題通りの内容。
産学連携に関わる記述は科学技術基本法(95年)を受けて97年版より大幅に増加すること、
白書の発行当初(58年版)から「共同研究」などの形で産学連携への意識が認められること、
近年でも種々の政策に分散して産学連携が説かれていること、などを指摘している。

なお分析に先立ち、科学技術白書の発行史が各年版の表題・副題などとともにまとめられ、
各年版の構成の変遷についても述べられていて便利(ただし07年版まで)。


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2014/07/08

Arns, "The high-vacuum X-ray tube" (1997)

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Robert G. Arns
"The high-vacuum X-ray tube:
 Technological change in social context"
Technology and Culture,
vol. 38 (1997), pp. 852-890.

1920年代までのX線管の発達過程を多面的に描き出したもの。
特に、ドイツのLilienfeldが開発した3つの世代のX線管と、
アメリカGE社のCoolidgeが開発した熱電子管とが比較しつつ論じられる。
使われている資料としてはそれぞれに関連する特許文書が多い。

著者は分析の枠組みとして、Bijkerのtechnological frameを活用する
(社会的に構成された価値・信念・実践などがその中に含まれる)。
Lilienfeld管は、それに先行する最初期のガスX線管と同じく、
"electrical-discharge frame"の中で発展していった。
これに対してCoolidge管は、動作機構は2代目のLilienfeld管と事実上同じだが、
新しい"vacuum frame"を作り出し、その中で発展していった。

Lilienfeld管とCoolidge管は、異なる社会的文脈の中で発達した。
特に第一次大戦後、アメリカではX線診断の普及して放射線医学が確立していくが、
ドイツではむしろ電気療法士がX線を用いた
(後者の場合には、高電圧放電に適した複雑なLilienfeld管のほうが適していた)。
両者の発展過程や、Coolidge管が最終的に後の発展につながったという事実は、
単に技術だけでは説明できない。


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2014/07/07

岡「X線回折研究の初期における日本人科学者の位置」(1961)

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岡邦雄
「X線回折研究の初期における日本人科学者の位置
 ――[(I)]寺田寅彦の場合 / (II)西川教授の場合」
『科学史研究』[第I期]
第57号(1961年)、29-35頁 / 第58号(1961年)、24-30頁。
※一応、同じ論文の第1部と第2部と見なせる

寺田寅彦と西川正治の行ったX線回折に関する研究を、
同時代の西洋で行われた研究と照らし合わせて評価しようと試みたもの。

寺田の研究は日本での開拓者的なものであったが、
時間的にも内容的にもBraggやWulffに及ばなかった。
西川の研究は日本でのX線回折研究の第2期を代表するものであり、
日付ではBraggに遅れたものの内容はそれに勝っていた。

寺田はBraggらに先を越されたのを知るや、あっさり研究を止めた。
西川は自分の研究を続けて優れた成果を多く出したが、
慎重な研究態度のため発表が遅れることが多かった。
著者はその両方に共通する「日本的な“潔癖さ”」を嘆じている。


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2014/07/05

鈴木「陸軍看護学教科書」(2013)

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鈴木紀子
「陸軍看護学教科書
 ――明治5年から明治23年まで」
『日本看護歴史学会誌』
第26号(2013年)、79-93頁。

※生物学史分科会・夏の学校「科学史・医学史とアーカイブズ」で頂いた別刷

明治前期に陸軍で用いられた看護学教科書8点の資料紹介。
基本的にはそれぞれの教科書の概要紹介で、詳しい分析や考察は行われていない。
職業看護婦養成が始まる以前の「看護学」を知る上で重要な資料、としての位置づけ。

#『陸軍病院扶卒須知』(明治8)においてすでに「衛生学」とあることに注意。
(翻訳書とのことだが原書についての情報は与えられていない。)


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2014/06/30

中村「日本最古の徳川義直公望遠鏡」(2009)

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中村士
「日本最古の徳川義直公望遠鏡」
『科学史研究』
第48巻(2009年)、98-108頁。

※先日の「科学史学校」の内容(の一部)はこの論文に依る

尾張徳川家初代、徳川義直の旧蔵とされる望遠鏡(徳川美術館蔵)に関する報告。
前半ではその由来や、外見および構造の特徴が述べられる。
後半ではそれを踏まえ、この望遠鏡がどこでどのように製作されたかを考察している。
著者によると、推定製造時期は1650年以前で、4枚の凸レンズによるシルレ型であり、
一閑張りを始めとする中国由来の技法によって作られた可能性が高い。
ケプラー式望遠鏡の情報がイエズス会を通じて中国にもたらされ、
そこで独自に発展させられたものであるかもしれない。

#この義直公望遠鏡は「わが国の望遠鏡の歩み」展(科博、1964年)に出品されたが、
図録に収録されていない由
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2014/06/27

山田・高田「札幌農学校所蔵の欧米物理書」(1988)ほか

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山田大隆・高田誠二
a) 「札幌農学校所蔵の欧米物理書(I, II)
 ――[I.]蔵書構成とその分析 / [II.]導入過程の史的分析」
b) 「札幌農学校(1876~1907)の物理教育
 ――(付:旧蔵物理学洋書全リスト)」
『科学史研究』
a) 第27巻(1988年)、37-44頁/166-177頁。
b) 第28巻(1989年)、5-13頁。

a) 札幌農学校での物理教育について、旧蔵書の分析に基づき考察する。
中でも『洋書目録』(1888年)で「課業書」(貸与教科書)とされた7冊に注目している。
蔵書印を手掛かりとした分析から、導入された物理書には次のような傾向が見られた。
すなわち最初期には蘭書・仏書が導入されたが、以下、初期には米書が、
中期には英書が、後期には独書が多数導入されている。

b) 前報を踏まえて、札幌農学校での物理教育を多角的に検討する。
まず、農学校旧蔵洋書は同時期の(東京)帝国大学蔵書と共通性が高いと指摘される。
続いてカリキュラムの変遷と導入教科書の変化とを照らし合わせた考察が行われる。
最後に、それらの授業を担当した教官について検討されている。
なお付録として、「札幌農学校旧蔵物理学洋書全リスト」(112点)を収める。

#実験器具については、現物は残っていないが「学術用諸機械目録」があるほか、
 旧蔵書中にFerdinand Ernecke社の機器目録(1896)がある
#重学関係では、初期にはTodhunterが多用された;後期には予科でBlaikieが指定され、
 工学科ではTodhunterとWeisbachが使われたと見られる


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2014/06/26

後藤「技術論・技術革新論・国家独占資本主義論」(1995)

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後藤邦夫
「技術論・技術革新論・国家独占資本主義論」
中山茂編集代表『通史 日本の科学技術 第2巻』248-257頁。
東京:学陽書房、1995年。

1950年代における「技術論」の展開を概観する。
この時期の議論では、1960年代後半からの科学技術批判と異なり、
科学技術それ自体に対する信頼はほとんど揺らいでいなかった。

第1節では背景として、相川春喜の「体系説」と羽仁五郎の歴史学に触れる。
第2節では武谷三男の「適用説」の登場と、それがもたらした
「唯物論と主体性」問題が取り上げられる。
第3節では「技術革新」という表現の登場に続いて、この概念をめぐる
星野芳郎と中村静治の対照的見解が検討される。
最後の第4節ではツヴィーシャンクの提起した「国家独占資本主義」論に触れ、
その中の「生産力の社会化」が技術革新論と接していると指摘される。

#武谷の「適用説」はいわゆるリニアモデルそのものであるように見える
cf. 「体系」の語が本来指したのは、今の言葉で言えば「社会システム」


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