共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2021年3月

麺の加工工程における風味形成メカニズムの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究(B)  若手研究(B)

課題番号
17K12893
体系的課題番号
JP17K12893
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

昨年度は不飽和脂肪酸の酸化部位が異なると知られているリポキシゲナーゼ(LOX)アイソザイムについて、陽イオン交換クロマトグラフィーにより分画を行った。その結果、「農林61号」、「さとのそら」、「あやひかり」、「関東139号」の4品種間でクロマトグラムに差が認められた。そこで本年度は,抽出LOXを基質となる不飽和脂肪酸と反応させることで過酸化脂肪酸を生成し,その構造異性体比を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により算出した。その結果,リノール酸を基質とした場合,上記4品種の中で農林61号は9-過酸化リノール酸を生成する割合が最も高かった。9-過酸化リノール酸からは不飽和アルデヒドが生成されるため,農林61号の独特な風味の形成要因の一つであることが示唆された。
また,昨年度の結果から,小麦粉中に含まれるルテインの持つ抗酸化作用が,揮発性成分生成を抑制している可能性が示唆された。そこでルテインに代表されるカロテノイドについて,小麦粉中に含まれる含有量をHPLCにより算出し,揮発性成分生成との相関関係を検討した。その結果,検出されたカロテノイドの中でルテインが突出して多かった。また,ルテインの含有量は上記4品種の中で農林61号において最も少なく,ルテインの含有量は不飽和脂肪酸の酸化分解生成物であるアルデヒド類などと負の相関を示した。このことから,ルテインは揮発性成分生成に対して阻害作用を有していることが示唆された。
「農林61号」と「さとのそら」の掛け合わせ非選抜群を用いることで,LOX活性のバラつきと揮発性成分生成の相関について検討をした。その結果,飽和アルデヒドについてはLOX活性と相関を示したのに対し,不飽和アルデヒドは相関を示さなかった。このことから,不飽和アルデヒドには,その生成過程に副反応が存在しているか,または分解反応が存在していることが示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K12893
ID情報
  • 課題番号 : 17K12893
  • 体系的課題番号 : JP17K12893