共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

電析マイクロカロリメトリ支援による金属融体界面マルチフィジックスの展開

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(B)

課題番号
20H02491
体系的課題番号
JP20H02491
配分額
(総額)
18,070,000円
(直接経費)
13,900,000円
(間接経費)
4,170,000円

本年度も電気化学反応が進行する高温融体界面挙動の計測を継続した。特に、課題②として設定した、銅含有溶鉄(メタル)-溶融酸化物(スラグ)界面についての検討を重点的に行った。すなわち、Cuを含む炭素飽和溶融鉄-溶融スラグ相界面をアノード分極することで、Cuの溶鉄からスラグへ除去可能な新たなコンセプトを提案し、これについて考察した。1773 K、Ar雰囲気におけるメタル相Fe - 10 wt%Cu - 5.0 wt%Cおよびスラグ相27 wt%CaO - 27 wt%SiO2 - 45 wt%Al2O3 - 1.0 wt%CaSの界面の電位を 1.0-2.0 V vs. Ptに種々の時間保持して定電位電解を実施した。貴の電位に保持するほど、スラグ中のCu濃度が増加する傾向が得られた。純金属のスラグ中での標準電極電位は、Cuの方がFeより約 0.5 Vも電位が貴で、スラグ中に溶解しにくいはずであるが、実際にはCuは溶解した。界面張力、表面状態、kineticsの観点から現象のメカニズムを考慮している。特に、実験では分極によってCu-rich相が金属-スラグ界面の近くで検出され、Cuが界面近くに明らかに集中することがわかっている。つまり、電気毛細管現象によってFe-rich相-スラグ界面エネルギー、およびCu-rich相-スラグ界面エネルギーの両方が低下して界面付近で優先的にCu-rich相が反応したと考えられる。この仮説を実証するために多相界面が存在する系における数値流体力学シミュレーションを実施した。各界面張力から求めた拡張係数で予測されるように、大きくアノード分極した場合には、Cu-rich相がFe-rich相を覆うように移動し、Fe-rich相-スラグ相界面が消失する数値解析結果が得られたので、流体力学的因子よりも界面張力によって界面形態が決定されることが示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H02491
ID情報
  • 課題番号 : 20H02491
  • 体系的課題番号 : JP20H02491

この研究課題の成果一覧

論文

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