2020年4月 - 2023年3月
オリゴデンドロサイト機能異常が惹起するp53誘導性神経変性機構の分子基盤解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究では、RNAヘリカーゼObp2の成熟オリゴデンドロサイト(OL)特異的欠損マウス(Mbp-Cre;Obp2 cKOマウス)の解析で我々が見出した、明確なOL分化異常を伴わずにニューロン内のp53経路活性化および神経変性を引き起こすメカニズムの解明を通して、OL-ニューロン相互作用のさらなる理解を目指す。
今年度は、前年度行ったRNA-seqの結果をもとに、さらなるOLとニューロン双方の表現型解析を行った。ニューロンにおいてはシナプス関連遺伝子群の発現低下および神経活動マーカーのc-fosやArcの発現低下が認められた。一方、オリゴデンドロサイトではDNA損傷の蓄積やp21の発現亢進が認められたほか、コレステロール合成関連遺伝子や脂質メディエーター関連遺伝子の発現低下が生じていた。RNA-seqの解析から、DNA修復関連遺伝子のスプライシング異常が多数検出され、DNA修復機構の破綻がDNA損傷蓄積の原因の1つである可能性が考えられた。さらに興味深いことに、Obp2欠損OLで顕著に減少する脂質メディエーター関連分子の発現を制御するシグナルのエフェクター分子と、Obp2が相互作用することを免疫沈降で確認した。これらの結果は、Obp2欠損OLではOL関連遺伝子発現の低下に先駆けて、ゲノムの不安定化や代謝異常が生じており、これがニューロン内のp53の蓄積や神経変性の要因となる可能性が示唆している。
今年度は、前年度行ったRNA-seqの結果をもとに、さらなるOLとニューロン双方の表現型解析を行った。ニューロンにおいてはシナプス関連遺伝子群の発現低下および神経活動マーカーのc-fosやArcの発現低下が認められた。一方、オリゴデンドロサイトではDNA損傷の蓄積やp21の発現亢進が認められたほか、コレステロール合成関連遺伝子や脂質メディエーター関連遺伝子の発現低下が生じていた。RNA-seqの解析から、DNA修復関連遺伝子のスプライシング異常が多数検出され、DNA修復機構の破綻がDNA損傷蓄積の原因の1つである可能性が考えられた。さらに興味深いことに、Obp2欠損OLで顕著に減少する脂質メディエーター関連分子の発現を制御するシグナルのエフェクター分子と、Obp2が相互作用することを免疫沈降で確認した。これらの結果は、Obp2欠損OLではOL関連遺伝子発現の低下に先駆けて、ゲノムの不安定化や代謝異常が生じており、これがニューロン内のp53の蓄積や神経変性の要因となる可能性が示唆している。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K07241
- 体系的課題番号 : JP20K07241