共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年7月 - 2022年3月

細胞外小胞を介した造血機能低下ネットワークの解明と治療応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
20K21622
体系的課題番号
JP20K21622
配分額
(総額)
6,500,000円
(直接経費)
5,000,000円
(間接経費)
1,500,000円

加齢に伴うクローン性造血や骨髄異形成症候群(MDS)における障害を受けた造血幹細胞がどのように骨髄微小環境を改変し、残存する正常なはずの造血幹細胞の機能が低下するのか、未知の機構の解明に挑戦している。MDSクローン自体は増殖優位性を有しないものの、時間経過とともに骨髄内でドミナントとなる。この現象を解き明かすためには、造血幹細胞間の直接的な制御機構ではなく、周囲のニッチ環境が重要であるという仮説に基づいて取り組んでいる。興味深いことに、新たなメカニズムとして、クローン性造血幹細胞が分泌するエキソソーム等の細胞外小胞が間葉系幹細胞に間葉系幹細胞に取り込まれ骨芽細胞への分化を抑制し骨芽細胞由来のサポートを失うことで正常造血が阻害されることを、共培養実験およびマウスモデルを用いた移植実験により明らかとすることができた。実際に、MDS患者では骨形成の低下や骨量の減少が認められ、ヒトにおいても同様の機構の存在が示唆される。エキソソーム内には核酸成分が含まれるが、MDS細胞由来のエキソソームには骨分化を抑制するmiRNA群が含まれ、骨芽細胞への分化を抑制している現象をエキソソームと核酸双方に蛍光ラベルすることにより可視化することに成功した。また、腫瘍細胞の根絶に加えて骨形成を促進する薬剤を使用することで残存する正常造血幹細胞由来の機能が回復することを確認し、新たな治療応用につながる成果を得ることができた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K21622
ID情報
  • 課題番号 : 20K21622
  • 体系的課題番号 : JP20K21622