共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

新規SWI/SNF複合体の機能喪失に基づくMDS発症機構の解明と治療応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H03717
体系的課題番号
JP20H03717
配分額
(総額)
17,810,000円
(直接経費)
13,700,000円
(間接経費)
4,110,000円

癌横断的に最も高頻度に変異が検出されるSF3B1遺伝子の下流標的であるBRD9の造血における役割を主にノックアウトマウスの作成を通して検証した。ノックアウトマウスはブロモドメインに該当するexon4-6を造血細胞特異的に欠失させるモデルを作成した。
当初の予想どおり、B細胞分化の抑制、好中球系への分化シフト、DNA損傷の蓄積、MDSの発症など、ヒト疾患を模倣する形質が確認できた。その背景にある遺伝子制御機構をRNA-seq, ATAC-seq他、マルチオミックス解析により検討し、エンハンサー、プロモーターを介した分化プログラムの脱制御を同定するに至った。例えば、好中球分化に必要な遺伝子においてスーパーエンハンサーが活性化するなど特徴的な所見が得られた。また、これらの作用はブロモドメイン依存性である一方、BRD9の未知の機能ドメインであるDUFドメインを介して、non canonical BAF (ncBAF)複合体と呼ばれるクロマチンリモデリング複合体を形成することを明らかとした。これらはBRD9がncBAFにおいて機能的に重要であるだけでなく、SF3B1変異細胞では転写後制御機構によりBRD9の喪失を介して、ncBAFの機能喪失をきたしていることを示している。さらに、ChIP-seqによりBRD9とクロマチンの3次元構造においてインシュレーターとなるCTCFがゲノム上で共局在することがあきらかとなっており、今後BRD9の喪失がクロマチン構造にどのように影響するのか、検討する。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H03717
ID情報
  • 課題番号 : 20H03717
  • 体系的課題番号 : JP20H03717