1997年 - 1998年
エンドトキシンによる肝アポトーシス誘導におけるストレスタンパクの役割
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
平成9-10年度において、D-ガラクトサミンとエンドトキシンをマウスに投与して、誘導された実験的エンドトキシンショックマウスを用いて、ストレスタンパクの発現を特に肝臓で検討した。その結果、エンドトキシンショックマウスの肝臓では、恒常的に発現されている熱ショックタンパクの発現が減少し、誘導型熱ショックタンパクが新たに導かれることを見いだした。この恒常的に発現している熱ショックタンパクの減少が肝細胞のエンドトキシンに対する抵抗性を減弱させ、肝細胞アポトーシスが起こると推定された。さらに、その肝傷害に一酸化窒素(NO)の関与について検討した。エンドトキシンショックマウスの肝臓において、血管周囲に誘導型NO合成酵素(iNOS)が発現されていることを見いだした。また、同じ場所にニトロチロシン(NT)も検出された。これらの場所において肝アポトーシスが主として誘導されており、iNOSによって産生されたNOと活性酸素によって作られたperoxynitriteが肝細胞傷害をおこしていることが示唆された。この傷害は抗腫瘍壊死因子(TNF)抗体で抑制されたことから、iNOSの誘導にもTNFが関与していると考えられた。NO、活性酸素、peroxynitriteといったフリーラジカルがストレスタンパクの発現にどのような影響を与えているかは今後の課題である。
- ID情報
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- 課題番号 : 09670303
- 体系的課題番号 : JP09670303