2006年4月 - 2009年3月
ことばで説明しにくい ものの説明:運動の言語的説明に関する研究
日本学術振興会 科学研究費補助金 萌芽研究
古くから、ことばで説明する、すなわち象徴的な言語表象に変換することが困難であるとされてきた運動的な表象(Bruner, 1967)を、言語的表象に変換するとき、何が行われているかの研究である。前年までの、「むすび」(knot)のことばによる説明、ピアノ演奏のレッスンの分析を継続するとともに、本年度は、「箸」の操作の言語的説明、さらに説明という問題では、発展的な問題である「障害」の説明について研究を行ってきた。前年度までに、とくに運動の言語的表象の変換には著しい性差がみられ、女性が自己身体準拠記述が顕著であることが明らかにされてきたが、箸の操作動作の言語変換でも同様の傾向がみられることが明らかになった。さらには、説明を受ける対象者の特性を考慮した説明は、女性によりみられる傾向であり、これらは進化心理学的な視点からのモデルが必要であることを示唆していた。発展的な「説明」の問題として、障害の説明についても検討を行った。加えて、本研究に関連する研究として、ルートの説明や空間表象を現実行為に変換する際の性差、空間記憶に関して進化心理学的視点からの研究も行ってきた。これらからも、空間的表象、行為表象の特性は、性差が著しいものであり、進化心理学的視点からの再検討が必要であることが確認された。
これらの説明する行為は、全体として、たんに分かりやすい理解をゴールとして目指す行為ではなく、多くの多層的なゴールを持った行為であることが、全体の研究から結論づけられる。
これらの説明する行為は、全体として、たんに分かりやすい理解をゴールとして目指す行為ではなく、多くの多層的なゴールを持った行為であることが、全体の研究から結論づけられる。
- ID情報
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- 課題番号 : 18653077
- 体系的課題番号 : JP18653077
この研究課題の成果一覧
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講演・口頭発表等
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日本認知心理学会第5回大会 2007年5月
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東北心理学会第61回大会 2007年