2016年4月 - 2020年3月
聴覚特性に基づく明瞭音声の客観指標と音声聴覚支援手法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
目標達成のための4研究項目を推進し、以下の成果を得た。 【1】聴覚信号処理: 新客観音声了解度指標"GEDI"(ジェダイ)を用いると、2種類の雑音下の強調音声において従来手法よりも精度良く推定ができることを示した。外国特許申請を完了し、H31年4月初旬に論文投稿とソフトウェア公開もした。また、模擬難聴条件下で補聴器を用いた場合の了解度試験も実施してデータを得た。 【2】難聴/健聴特性解明・主観評価: 聴覚末梢系特性の高精度推定のための蝸牛雑音フロアを導入した新手法について国際会議で発表し論文化した。音声からの寸法知覚に関して、通常発声とささやき声を直接比較する心理実験をさらに追加し、国際会議に投稿した。チャープ信号を用いた聴性脳幹反応 (ABR)特性の強調手法の有効性が確認でき、論文化した。模擬難聴者実験のパラダイムを音声明瞭性実験から寸法知覚実験や楽器演奏実験にも展開し、従来にない知見を得た。【3】音声音響信号処理: 模擬難聴システムの背景となる信号処理に関してまとめ、国際会議で招待講演を行った。また、この実時間処理手法と特性に関しても国際会議で発表し論文化した。高品質音声分析合成系において新規駆動音源を開発し、品質を向上させた。8chマイクロホンアレー出力をDNNによりチューニングすることにより、補聴器使用時の選択的聴取及び空間定位を支援する枠組みを提案した。音声合成処理の品質改善に向けて、DNNに基づく波形生成モデルであるニューラルボコーダの改良を行い国際会議で発表した。【4】教育評価・明瞭音声データ: 模擬難聴システムを用いた発話の明瞭化訓練の音声の評価実験をさらに進めた。分析とデータベース化のためのアノテーションを進めた。模擬難聴を用いた訓練により発話速度が有意に遅くなり、3ヶ月後でも効果が持続することを発見した。
- ID情報
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- 課題番号 : 16H01734
- 体系的課題番号 : JP16H01734
この研究課題の成果一覧
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論文
4-
Speech Communication 136 23-41 2022年1月 査読有り責任著者
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Interspeech 2020 2020年10月 査読有り最終著者
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Interspeech 2020 2020年10月 査読有り筆頭著者責任著者
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Speech Communication 123 43-58 2020年10月 査読有り責任著者
書籍等出版物
1-
コロナ社 2021年3月
講演・口頭発表等
4-
音学シンポジウム2022 2022年6月18日
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電子情報通信学会, 音声研究会 2021年3月3日
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日本音響学会 聴覚研究会 2020年11月20日
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第30回 日本耳科学会 2020年11月12日 招待有り