共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

酸化グラフェンナノシート懸濁液による摩擦抵抗と熱伝達の同時向上

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K04196
体系的課題番号
JP19K04196
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

本研究では抵抗低減と熱伝達率向上を同時達成することを目的として,酸化グラフェンナノシート懸濁液の流動抵抗および熱伝達性能を実験的に明らかにする.2019年度においては,高出力のシリンジポンプを自作し高濃度懸濁液で高レイノルズ数域まで測定出来る装置を作製し実験を行った.具体的には,0.1 wt%,0.3 wt%,0.5 wt%の酸化グラフェンナノシート懸濁液を用いて,円管内圧力損失測定および熱伝達率測定を行った.比較のため二酸化チタン0.5 wt%懸濁液およびPeo 15 ppm水溶液でも同様の実験を行った.本研究の結果,本酸化グラフェンナノシート懸濁液は乱流域で蒸留水と比較して管摩擦係数が最大36.5%低減する抵抗減少効果を明らかにした.この効果はレイノルズ数の増加に伴い極大値を示した後,一定値となる挙動を示した.一方,抵抗減少効果が生じるレイノルズ数範囲で酸化グラフェンナノシート懸濁液のヌセルト数は10‐20 %上昇し伝熱性能が向上することが分かった.この伝熱性能は本レイノルズ数範囲では濃度およびレイノルズ数の増加とともに上昇した.比較のために行った二酸化チタン懸濁液およびPeo水溶液においては,従来から指摘されているように抵抗低減と熱伝達向上を両立させることは不可能であった.熱伝達率と抵抗低減の相関から,本研究で用いた酸化グラフェンナノシート懸濁液はこれらの特性を伴に有していることが明らかにされた.これらの結果は,本研究で初めて明らかにされ,工学的・工業的に意義があることと言える.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K04196
ID情報
  • 課題番号 : 19K04196
  • 体系的課題番号 : JP19K04196