2022年1月
肝性脳症との鑑別を要した小児集中治療後症候群
日本小児科学会雑誌
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- 巻
- 126
- 号
- 1
- 開始ページ
- 83
- 終了ページ
- 88
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- (公社)日本小児科学会
症例は7歳女児で、腹痛、倦怠感を主訴とした。亜急性型劇症肝炎と診断し、高アンモニア(NH3)血症と昏睡度II度の肝性脳症、徐波化脳波を認めたため、入院9日目にICUで血漿交換療法を行った。血中NH3値と肝機能は改善したが、入院24日目に一般病棟へ転棟後も遷延する見当識障害、遂行機能障害、せん妄および左右対称性筋力低下を認めた。血中NH3値と総ビリルビン値は低値を維持し、脳波の徐波も改善したため肝性脳症は否定的と考え、集中治療後症候群と診断した。発症早期から理学療法および作業療法を行い1週間で歩行可能となった。多職種による包括的サポートで経時的に認知・精神機能は回復し、認知機能は2週間で6歳相当から8〜11歳相当まで改善した。転棟後3週間で退院となり、定期的な外来診察を継続し、また退院後2ヵ月間は児童精神科医による診察で精神面に対する支援も行った。
- ID情報
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- ISSN : 0001-6543
- 医中誌Web ID : 2022148777