共同研究・競争的資金等の研究課題

2007年 - 2008年

壊れ方機能を内包したセラミックスの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 萌芽研究
  • 近藤 建一
  • ,
  • 阿藤 敏行
  • ,
  • 川合 伸明

課題番号
19656166
配分額
(総額)
2,500,000円
(直接経費)
2,500,000円

本研究は、新しい材料開発概念である壊れ方機能を有する材料の実証例として「ナノ破壊機能」を内包するムライトセラミックスについて、その機構の本質を探り、さらには類似の現象を引き起こすセラミックスの一般則を探索することを目標としている。平成19年度の研究成果より、ムライトのナノ破壊はムライト結晶構造中に大量に存在する酸素欠損の影響によるものと推察した。この推論を実証するために、通常のムライト(3Al203・2Si02)よりも酸素欠損量が多い、アルミナリッチムライト(3.56A1203・2Si02)について衝撃回収実験を行い、回収試料のX線回折および透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、相変化とそれに伴う微細組織の変化を調べた。33 GPa以上の衝撃圧から回収された試料の回折パターンにはハローが現れ、アルミナリッチムライトによる回折線の半値幅も急激に増大する。これより、アルミナリッチムライトにおいても、通常のムライトとほぼ同じ転移圧で衝撃誘起相転移を起こすことが分かる。さらに圧力を上げた45GPaではアルミナリッチムライト結晶相による回折ピークは消失し、ほぼ完全なアモルファス相が得られる。このことは、通常のムライト、およびシリマナイトよりも相転移の進行度が大きいことを示唆している。33 GPaから回収された試料のTEM観察像からは通常のムライトでも観察された結晶方位を揃えた特異的なナノ微細構造が観察されたが、アルミナリッチムライトでは各々のナノ結晶粒の大きさが10nmよりも小さく、より微細な組織となっていた。このことは衝撃誘起によるナノ破壊という現象を、ムライトの化学組成によって制御できることを示すものであり、機能的な壊れ方を実現させるための一つの指針が得られたものと考えられる。