2018年4月 - 2021年3月
がん免疫療法効果予測に資する病理学的指標の探索
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究の目的は、がんの最適医療のために必要な病理学的指標の確立である。がんは日本人の死因第一位であり、臓器別では肺が最も多く、その制圧は医学の大きな課題である。肺癌は、他臓器と比較して様々な性質を持つことが特徴であり、がんの個性に対応する個別化医療が進んでいるが、いまだ十分とはいえない。近年の治療法の目覚ましい進歩、例えばドライバー遺伝子肺がんに対する活性化チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)や免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の開発は、一部の患者に大きな恩恵をもたらしている。治療選択枝は増えているが、実臨床での治療方針決定には依然としてTNM病期分類と病理組織分類が重要である点に異論はない。治療方針の最適化のためには、がんの個性をいかに読み解くか、すなわち遺伝子異常の網羅的情報と臨床病理学的情報とを如何に統合していくべきかが大きな課題である。特にICIでは、より精度の高い治療予測バイオマーカーの探索と最適な検索方法の確立は喫緊の課題である。
本研究では、がん治療で最も注目されているICIの予測指標の探索と検出手法の確立を目指し、病理検体を用いたがんの形態および形質・免疫細胞の解析とゲノム、臨床情報との統合解析を行っている。初年度は、ICI治療を受けた肺がんの病理組織標本から、HE染色標本のデジタル画像を作成し、がん細胞の形態学的特徴量を画像解析により抽出し、効果のある群とない群の予測を行ったところ、特徴量の組み合わせにより高率に予測可能なモデルを構築できる可能性が示された。腫瘍浸潤免疫細胞は、殺細胞性Tリンパ球(CD8)の浸潤と治療効果との関連について解析を進めている。形態学的特徴量は、病理医のがん異型度評価、遺伝子変異の状態あるいはPD-L1の発現と相関し、客観的に抽出可能な因子であるため、今後の実臨床に応用可能な新規バイオマーカーとして有望である。
本研究では、がん治療で最も注目されているICIの予測指標の探索と検出手法の確立を目指し、病理検体を用いたがんの形態および形質・免疫細胞の解析とゲノム、臨床情報との統合解析を行っている。初年度は、ICI治療を受けた肺がんの病理組織標本から、HE染色標本のデジタル画像を作成し、がん細胞の形態学的特徴量を画像解析により抽出し、効果のある群とない群の予測を行ったところ、特徴量の組み合わせにより高率に予測可能なモデルを構築できる可能性が示された。腫瘍浸潤免疫細胞は、殺細胞性Tリンパ球(CD8)の浸潤と治療効果との関連について解析を進めている。形態学的特徴量は、病理医のがん異型度評価、遺伝子変異の状態あるいはPD-L1の発現と相関し、客観的に抽出可能な因子であるため、今後の実臨床に応用可能な新規バイオマーカーとして有望である。
- ID情報
-
- 課題番号 : 18K07036
- 体系的課題番号 : JP18K07036