2019年4月 - 2022年3月
シダ植物の独立配偶体のDNAバーコーディングを活用した探索とその成立要因の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
1年目の2019年度は、研究代表者の村上が、研究分担者の海老原博士、篠原博士、山本博士、堀博士と分担協力して、東日本は奥多摩(最高峰の雲取山を含む)、中部・近畿は三重(新宮と尾鷲)・和歌山(古座)・兵庫県(六甲山)、四国(横倉山)は高知県、九州は屋久島で独立配偶体の調査を行った。それぞれの調査地では、シダ植物のリボン状配偶体のマットを採集した。渓谷や山中で、直射日光が当たらない北面のやや乾いた薄暗い場所で、落葉や土壌が堆積していない岩の割れ目・くぼみを探すと、シダ植物の配偶体マットを比較的高い頻度で見つけられることが分かった。また、コケ植物(配偶体)は多くが明るい緑色なのに対して、シダ植物の配偶体マットは薄暗い不透明な緑色なので、肉眼でも容易に区別できることも分かった。採集した配偶体マットのサンプルを用いて、葉緑体DNA上のrbcL遺伝子をPCR増幅&ダイレクトシーケンシングにより決定し、DNAデータベースに登録されている配列と比較して、種の同定を行った。
その結果、海老原博士のこれまでの研究によって報告されていたヒメサジランとカラクサシダの独立配偶体は、日本国内の幅広い地域で見出された。さらに新たに、タキミシダの独立配偶体も、高知県の複数の産地で見出された。タキミシダはその胞子体が広く西日本から報告されてはいるものの、どの産地でも個体数が極端に少なく、ほとんどの府県で絶滅危惧種に分類されている。このような希少種の独立配偶体が複数の産地で見出されたことは、タキミシダが主として配偶体世代で生育している可能性を示唆している。
また、ミカワコケシノブとオオコケシノブの独立配偶体のみが見られた東京都奥多摩と、それらの胞子体も見られる愛知県において、生育地に自動気温モニターを仕掛け、気温などの違いを測定・比較する調査についても、研究分担者の常木博士が中心になって実施した。
その結果、海老原博士のこれまでの研究によって報告されていたヒメサジランとカラクサシダの独立配偶体は、日本国内の幅広い地域で見出された。さらに新たに、タキミシダの独立配偶体も、高知県の複数の産地で見出された。タキミシダはその胞子体が広く西日本から報告されてはいるものの、どの産地でも個体数が極端に少なく、ほとんどの府県で絶滅危惧種に分類されている。このような希少種の独立配偶体が複数の産地で見出されたことは、タキミシダが主として配偶体世代で生育している可能性を示唆している。
また、ミカワコケシノブとオオコケシノブの独立配偶体のみが見られた東京都奥多摩と、それらの胞子体も見られる愛知県において、生育地に自動気温モニターを仕掛け、気温などの違いを測定・比較する調査についても、研究分担者の常木博士が中心になって実施した。
- ID情報
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- 課題番号 : 19H03288
- 体系的課題番号 : JP19H03288