2003年 - 2003年
がん細胞運動刺激因子AMFとATXの立体構造と機能
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究
我々は、腫瘍細胞が細胞外に分泌し産生細胞自体の運動を刺激するサイトカインである、2種類のヒト由来自己分泌型運動因子(「Autocrine Motility Factor、以下AMFと略」と「Autotaxin、以下ATXと略」)のがん転移の初期段階(運動刺激)における作用機序を分子レベルで解明し、その知見をがん転移抑制剤の合理的開発へ役立てたるため、両者に関する構造生物学的研究を行う。即ち、本研究の一つの柱は、「ヒト由来AMFのX線結晶構造解析」であり、もう一つの柱は、「ヒト由来ATXのX線結晶構造解析」である。
・(a)ヒトおよびマウスAMFと種々の阻害剤との複合体の構造解析
ヒトAMFに関しては、既に構造決定済みである。各種阻害剤の効果を評価するin vivoのがん転移モデル等の実験においては、マウスを用いている。従って、マウス由来AMF (mAMF)の立体構造情報も必要である。そこで、今年度は、mAMFの発現・精製・結晶化・構造決定を行った。大腸菌を用いてGST融合型mAMFを発現させ、2段階のカラム操作で精製した。得られた精製mAMFを用いて結晶化条件の探索を行い、板状結晶を得た。共結晶化法により、各種阻害剤との複合体結晶の調製にも成功した。シンクロトロン放射光を用い、回折強度データの収集を行った。分子置換法による位相決定、構造精密化を行い、各種阻害剤複合体に関し、高分解能の立体構造を得ることができた。
・(b)ヒトATXの立体構造解析
研究協力者の羽賀新世博士(岐阜薬大)が構築した組換え型ヒトATXの大腸菌による発現系を用い、mgオーダーの結晶化用サンプルが得られる大量培養・精製系を確立した。現在、結晶化条件の探索を行っている。
・(a)ヒトおよびマウスAMFと種々の阻害剤との複合体の構造解析
ヒトAMFに関しては、既に構造決定済みである。各種阻害剤の効果を評価するin vivoのがん転移モデル等の実験においては、マウスを用いている。従って、マウス由来AMF (mAMF)の立体構造情報も必要である。そこで、今年度は、mAMFの発現・精製・結晶化・構造決定を行った。大腸菌を用いてGST融合型mAMFを発現させ、2段階のカラム操作で精製した。得られた精製mAMFを用いて結晶化条件の探索を行い、板状結晶を得た。共結晶化法により、各種阻害剤との複合体結晶の調製にも成功した。シンクロトロン放射光を用い、回折強度データの収集を行った。分子置換法による位相決定、構造精密化を行い、各種阻害剤複合体に関し、高分解能の立体構造を得ることができた。
・(b)ヒトATXの立体構造解析
研究協力者の羽賀新世博士(岐阜薬大)が構築した組換え型ヒトATXの大腸菌による発現系を用い、mgオーダーの結晶化用サンプルが得られる大量培養・精製系を確立した。現在、結晶化条件の探索を行っている。
- ID情報
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- 課題番号 : 15024262
- 体系的課題番号 : JP15024262