2020年4月 - 2023年3月
甲状腺微小乳頭癌の個別的管理のためのバイオマーカー探索と患者報告アウトカム研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
低リスク微小乳頭癌の過剰治療予防策として提唱された積極的経過観察(Active surveillance:AS)について、治療を受ける患者側の視点から健康関連QOLを評価した患者報告アウトカム(Patient-reported outcome: PRO)研究を継続している。本研究はすでにASまたは手術を受けている患者を対象とする横断研究部分と、新しく低リスク微小乳頭癌と診断された患者を対象とする縦断研究部分から成る。
横断研究部分について、1995年から2019年までに低リスク微小乳頭癌の診断を受け、管理継続中の282人の患者に対するPRO評価を行い、データの確認、統計解析を行った。管理方針はAS249例、手術33例(内視鏡手術9例を含む)であった。包括的QOL評価尺度としてSF-36v2、疾患特異的QOL尺度としてVisual Analog Scale (VAS)、不安尺度として新版STAIを用いた。女性が246例(87%)、平均年齢は49.9歳、治療開始からの経過年数の中央値はAS群7.9年、手術群4.0年であった。手術群に比較して、AS群はSTAIの状態不安(評価を行った時点での不安)、特性不安(もともと不安になりやすい特性)とも有意に良好であり、SF-36v2における「精神的側面のQOLサマリースコア」も有意に良好であった。さらに、SF-36v2の下位尺度8項目については、「社会生活機能」を除く7項目で、AS群は国民標準値を上回った。VASでは、手術群はAS群よりも頸部手術関連症状が不良であった。さらに、AS群における多変数解析の結果、特性不安と経過観察期間が状態不安と有意に相関することが確認された。経過観察期間が5年以上の患者は5年未満の患者に比べ、有意に状態不安が軽減した。
縦断研究部分も2020年4月より開始しており、すでに100例を超える患者を登録した。
横断研究部分について、1995年から2019年までに低リスク微小乳頭癌の診断を受け、管理継続中の282人の患者に対するPRO評価を行い、データの確認、統計解析を行った。管理方針はAS249例、手術33例(内視鏡手術9例を含む)であった。包括的QOL評価尺度としてSF-36v2、疾患特異的QOL尺度としてVisual Analog Scale (VAS)、不安尺度として新版STAIを用いた。女性が246例(87%)、平均年齢は49.9歳、治療開始からの経過年数の中央値はAS群7.9年、手術群4.0年であった。手術群に比較して、AS群はSTAIの状態不安(評価を行った時点での不安)、特性不安(もともと不安になりやすい特性)とも有意に良好であり、SF-36v2における「精神的側面のQOLサマリースコア」も有意に良好であった。さらに、SF-36v2の下位尺度8項目については、「社会生活機能」を除く7項目で、AS群は国民標準値を上回った。VASでは、手術群はAS群よりも頸部手術関連症状が不良であった。さらに、AS群における多変数解析の結果、特性不安と経過観察期間が状態不安と有意に相関することが確認された。経過観察期間が5年以上の患者は5年未満の患者に比べ、有意に状態不安が軽減した。
縦断研究部分も2020年4月より開始しており、すでに100例を超える患者を登録した。
- ID情報
-
- 課題番号 : 20K08995
- 体系的課題番号 : JP20K08995
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
1-
In Vivo 36(1) 264-273 2021年12月 査読有り責任著者