2017年4月 - 2020年3月
流出解析と環境DNA分析を用いた種の生息位置推定モデルの開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
水生昆虫を対象にした環境DNAメタバーコーディングに関して,バイオインフォマティクスのパイプラインを構築した.塩基配列情報同士の一致度の閾値は,メタバーコーディングデータの解析結果の信頼性を左右するが,水生昆虫に関して,データに基づいて閾値を設定した例はない.このため水生昆虫に特化した塩基配列一致度を調査した.その結果,水生昆虫CO1領域は属内の塩基配列一致度が85%であり,菌叢18SrRNAで用いられる90~97%属内一致度,魚類16SrRNAで一般的に用いられる97%属内一致度よりも閾値が低いことが示された.
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環境DNAメタバーコーディング結果と従来のサーバーネット採集法における,水生昆虫検出度を比較した.さらに,それぞれの手法から得られる水生昆虫相の季節・空間的な群集構造の違いを示した.解析サンプルは2016年5月から12月において名取川流域中の13地点から採取した全75サンプルであり,解析対象遺伝子は無脊椎動物のミトコンドリアDNAのCO1領域である.環境DNAは従来法よりも多くの分類群を検出し,特に水際~陸に生息域を持つハエ目やカメムシ目等の検出が顕著であった.また2つの手法において得られる群集構造は似通っており,環境DNAと従来法の相関は高いものと考えられた.本結果は現在論文として投稿中である.
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環境DNAのメタバーコーディングと定量PCRにより,水生昆虫個体数が推定できる可能性を示した.メタバーコーディングにより,分析する全DNA中における各水生昆虫分類群DNAの相対的存在量を得た.分析に供するDNAの濃度をqPCRによって定量した値と組み合わせ,目的の水生昆虫分類群のDNA絶対量を推計し,実際に採集された水生昆虫量との関係を解析した.その結果,カゲロウ目,カワゲラ目,ハエ目については環境DNAと実水生昆虫量の間に正の相関が得られた.本成果は平成30年度東北支部において口頭発表をしたほか,現在論文として投稿準備中である.
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環境DNAメタバーコーディング結果と従来のサーバーネット採集法における,水生昆虫検出度を比較した.さらに,それぞれの手法から得られる水生昆虫相の季節・空間的な群集構造の違いを示した.解析サンプルは2016年5月から12月において名取川流域中の13地点から採取した全75サンプルであり,解析対象遺伝子は無脊椎動物のミトコンドリアDNAのCO1領域である.環境DNAは従来法よりも多くの分類群を検出し,特に水際~陸に生息域を持つハエ目やカメムシ目等の検出が顕著であった.また2つの手法において得られる群集構造は似通っており,環境DNAと従来法の相関は高いものと考えられた.本結果は現在論文として投稿中である.
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環境DNAのメタバーコーディングと定量PCRにより,水生昆虫個体数が推定できる可能性を示した.メタバーコーディングにより,分析する全DNA中における各水生昆虫分類群DNAの相対的存在量を得た.分析に供するDNAの濃度をqPCRによって定量した値と組み合わせ,目的の水生昆虫分類群のDNA絶対量を推計し,実際に採集された水生昆虫量との関係を解析した.その結果,カゲロウ目,カワゲラ目,ハエ目については環境DNAと実水生昆虫量の間に正の相関が得られた.本成果は平成30年度東北支部において口頭発表をしたほか,現在論文として投稿準備中である.
- ID情報
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- 課題番号 : 17J02158
- 体系的課題番号 : JP17J02158
この研究課題の成果一覧
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論文
1-
応用生態工学 23(1) 21-36 2020年9月28日 査読有り筆頭著者