共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

ダイヤモンド表面核スピン格子を用いた室温量子シミュレータの基盤構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
18H03870
体系的課題番号
JP18H03870
配分額
(総額)
44,460,000円
(直接経費)
34,200,000円
(間接経費)
10,260,000円

ダイヤモンドの点欠陥の一つである負の電荷をもつ窒素空孔ペアー(NV-)は、スピン1の三準位状態を持ち、炭素原子であることなどが理由で、スピン緩和時間が室温でも長く、光による初期化が可能など、特徴ある光学・スピン状態を有している。このNV-の光検出磁気共鳴を用いることにより、NV-と周囲の核スピンとの間の磁気的相互作用を検出することができる。一方、ダイヤモンド表面を完全平坦面であるように作製する技術を、我々のグループでは有しており、水素(1H)終端やフッ素(19F)終端、また、酸素終端など制御することができる。
本課題は、ダイヤモンド表面付近(数nmから数10nm程度)にNVセンタを作成し、その電子スピン共鳴信号に重なる表面修飾された原子による核スピンによる磁気的相互作用を検出する。表面原子核をキュービットとし、その信号をNV-を通して検出する量子シミュレータを構築することを目的としている。
本年度は上記構造を作成するための、シミュレータ構造作製プロセスを構築するとともに、信号の検出を行った。構造作製に関しては、原子レベル完全平坦面をノンドープダイヤモンドによって作製し、その後水素プラズマエッチングで表面に数ナノから数10ナノメートルの粗さを括り付ける。その後、窒素ドープしたダイヤモンド膜によりその荒れた面を平坦に戻す。この手法により作成したNV中心は表面付近のみに存在する。このようすを、原子間力顕微鏡により、逐次観測し、確認することができた。本構造を用い、共焦点顕微鏡により、NV-センタの観察を行った。その結果、単一のNV中心の存在を確認することができた。
現状では、個々のNV-センタの深さを測定により得ることができなかったが、今後、表面に電子スピンなどを有する原子を付加することにより、計測によってもその深さを得る予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H03870
ID情報
  • 課題番号 : 18H03870
  • 体系的課題番号 : JP18H03870