論文

2022年5月

マウス由来GDE7は環状ホスファチジン酸を産生する酵素活性を有する

脂質生化学研究
  • Tserendavga Binderiya
  • ,
  • 大嶋 紀安
  • ,
  • 藤田 千明
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  • 湯澤 厚二
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  • 大嶋 麻理
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  • 矢中 規之
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  • 南嶋 洋司
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  • 和泉 孝志

64
開始ページ
247
終了ページ
249
記述言語
英語
掲載種別
出版者・発行元
日本脂質生化学会

GDE4とGDE7は、ほ乳類グリセロホスホジエステルホスホジエステラーゼ(GDE)ファミリーに属する膜貫通型の酵素である。我々は、GDE4およびGDE7はグリセロホスホジエステルに対する酵素活性は示さず、リゾホスファチジルコリン(LPC)からリゾホスファチジン酸(LPA)を産生するリゾホスホリパーゼD活性を示すことを明らかにしてきた。本研究では、精製したリコンビナントのマウスGDE4およびGDE7を用いて酵素反応解析を行い、GDE7はLPAよりも、環状ホスファチジン酸(cPA)を産生する活性が大きいことを明らかにした。種々のリゾリン脂質に対する基質特異性を調べたところ、GDE4はリゾホスファチジルグリセロールやLPCに、GDE7はリゾホスファチジルセリンやLPCに対する酵素活性が高かった。さらに、いずれの酵素とも、1-アシル型や1-アルケニル型よりも、1-アルキル型のリゾリン脂質に対する活性が高かった。二価陽イオンの要求性を検討したところ、GDE4はMg2+存在下で酵素活性を有し、Ca2+の共存により酵素活性が上昇するのに対して、GDE7ではCa2+存在下で酵素活性を有した。これらの結果からいずれの酵素も複数の二価陽イオンが結合し酵素活性に関与していること示唆された。生体内でGDE7がcPAを産生するかどうか、また生理的役割については、今後の研究で明らかにすべき課題である。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0285-1520
  • 医中誌Web ID : W610110089

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