論文

2011年

抗TNF-α製剤による結核発症メカニズムに関する検討

日本臨床免疫学会総会抄録集
  • 安井 耕三
  • ,
  • 近藤 陽一
  • ,
  • 山下 信子
  • ,
  • 長岡 義晴
  • ,
  • 齊藤 有希惠
  • ,
  • 八代 将登
  • ,
  • 津下 充
  • ,
  • 森島 恒雄

39
0
開始ページ
128
終了ページ
128
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14906/jscisho.39.0.128.0
出版者・発行元
日本臨床免疫学会

生物学的製剤の治療導入により、リウマチ疾患群の治療予後は劇的に改善した。一方それに伴う副作用が問題となっている。なかでもinfliximab投与による結核発症の増加が関心を集めている。単球は種々のサイトカイン刺激によりマクロファージ・樹状細胞・破骨細胞・多核球に分化する。なかでもTNF-αはマクロファージ活性化や肉芽腫・多核巨細胞(Langhans-type)形成といった結核菌に対する単球の免疫防御発現にとって不可欠なサイトカインとされている。[目的]肉芽腫病変における多核巨細胞(MNGC; Langhans-type)への分化誘導のメカニズムの検討を行うことにより、生物学的製剤による結核発症のメカニズムの検討を行った。[方法]末梢血から単球を90%以上の純度で単離。GM-CSF(20ng/mL)・TNF-α(20ng/mL)・IL-4存在下に21日間培養。細胞分析プログラムを用いて多核細胞について形態および機能解析を行った。[結果]GM-CSF+IL-4は樹状細胞にさらにTNF-α刺激が単球を有効に集簇させ多核巨細胞へと分化させた。巨細胞はFAK・Rhoキナーゼの阻害により、細胞癒合が阻止された。また巨細胞形成は、抗TNF-α中和抗体により強力に抑制されたが、TNF-αRIIに対する抗体では影響が無かった。[結論]Langhans巨細胞形成とその維持は細胞内寄生菌である結核菌の免疫防御に重要であり、この機能低下が結核発症(潜在性感染の顕性化)に関与すると推察された。Etanercept/Tocilizmabでは細胞分化への影響は乏しく、結核発症率には影響が少ないと考えられた。各生物学的製剤使用中の結核発症症例数と併せ報告する。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14906/jscisho.39.0.128.0
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130006948056
ID情報
  • DOI : 10.14906/jscisho.39.0.128.0
  • CiNii Articles ID : 130006948056

エクスポート
BibTeX RIS