共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2020年3月

セロトニン神経に着目したパーキンソン病での視床下核刺激の歩行・精神機能への効果

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
16K10784
体系的課題番号
JP16K10784
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

重症パーキンソン病患者(Hoehn and Yahr stage III~IV、年齢75歳以下、認知障害なし、うつ病の既往なし)に対し、10名を目標に両側視床下核脳深部刺激術 (STN-DBS)を施行、術前及び術後6ヶ月にドパミン神経系障害の評価として [11C]CFT-PET 、セロトニン神経系障害の評価として[11C]DASB-PET撮影を進めてい る。関心領域は中脳、側坐核、尾状核頭、被殻(腹側、背側)、 視床、前頭皮質、 眼窩前頭皮質、側頭皮質、頭頂皮質、島皮質、帯状皮質として結合能を測定する。ドパミントランスポーター、セロトニントランスポーターの密度を定量的に測定し、セロトニン神経系に対するSTN-DBSの影響の有無を検討する。画像解析 ソフトとして PMODソフトウェアとSPM法を用い、定量画像の作成、トレーサー結合能の定量的な解析およひ統計的画像解析を行う。また、STN-DBS術後5~8年経 過した患者12名についてもPET撮影を行い、先の10名とデータを比較検討する予定である。現在、STN-DBSを施行した患者の[11C]CFT-PET結合能の結果を解析し、ドパミントランスポーター密度は、術前と比較し症状優位側と対側の被殻後背側部においては有意な低下を認めたが、症状優位側と対側の被殻前腹側部、尾状核腹側部においては有意な上昇を認めた。ドパミントランスポーター密度の上昇率はオフ時の運動症状の改善率と有意に相関していた。一般にPDにおける線条体ドパミントランスポーター密度は病期の進行とともに低下する。今回確認された被殻前腹側部におけるドパミントランスポーター密度の上昇はパーキンソン病の自然経過とは異なる所見であり、STN-DBSのneuromodulation効果の一端を示している可能性がある。今後更なる症例の集積と検討が必要である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16K10784
ID情報
  • 課題番号 : 16K10784
  • 体系的課題番号 : JP16K10784