論文

査読有り 筆頭著者 責任著者
2018年8月

実戦的面打ちを習得するために基本打ちの練習は必要か?

武道学研究
  • 坂井伸之
  • ,
  • 竹田隆一
  • ,
  • 井上あみ
  • ,
  • 柴田一浩

51
1
開始ページ
1
終了ページ
9
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)

剣道では,初級者から上級者までの大部分の競技者は,竹刀を頭上に振り上げて大きく打つ「基本打ち」の練習を繰り返し行う。しかし,実際の試合では,熟練者は振りかぶらずコンパクトに打つ「実戦打ち」をする。実践打ちを習得するために基本打ちの練習は本当に必要なのだろうか。我々はこの基本的問題に取り組んだ。まず,1つの棒モデルの力学を理論的に再検討し,左右の手で逆方向に力を加えることは竹刀の先端を加速するさせる上で効率悪いことを示した。この結果は,竹刀の効果的な運動が,並進運動・2段階ブレーキ運動・軸なしシーソー運動の3つの過程から構成されることを示す。各過程について慎重に検討した結果,実戦打ちを習得するために基本打ち練習をすることの利点を幾つか発見した。例えば,実戦打ちにおいて並進運動及び軸なしシーソー運動をうまく実行するためには,肘や手首ではなく肩を力強く動かすことが重要である。大きな振りを繰り返すことは,初心者が肩の動きを習得するために適した練習になる。ただし,基本打ちだけを練習することは十分ではない。と言うのは,実際長年練習しても実戦打ちの習得に苦労する競技者がいるからである。そこで我々は,初級者から実戦打ちの訓練をすることを提案する。本研究結果に基づいた指導法を構築することが急務であり,進行中である。

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