研究ブログ

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ワークショップSCAIS開催のご案内

Small-workshop on Communications between Academia and Industry for Security (SCAIS)


標記のワークショップを開催しますのでご案内いたします。

本ワークショップは無事終了しました。参加者・講演者の皆様に感謝いたします。(2015年1月20日)

更新情報


2015年1月20日更新:基調講演のタイトル修正
2015年1月14日更新:プログラム更新

日程

2015年1月19日(月)10:00~18:00

会場

九州大学西新プラザ (会場アクセス)

プログラム

(登壇者敬称略)

10:00〜11:30 セッション1:量子計算機

  • 10:00〜10:50 講演1:量子計算機の現状と展望
    鹿野 豊(分子科学研究所)
  • 10:50〜11:10 講演2:格子問題と格子暗号の紹介
    山田 翔太(産業技術総合研究所)
  • 11:10〜11:30 会場討論(量子計算機と耐量子暗号)
    講演者+縫田 光司(産業技術総合研究所)

12:50〜14:20 セッション2:電子通貨

  • 12:50〜13:50 基調講演
    ビットコインが開拓する暗号基盤とその応用」櫻井 幸一(九州大学/九州先端科学技術研究所 教授
    「分散型公開鍵基盤のためのID埋め込み手法」穴田 啓晃(九州先端科学技術研究所
    研究員)
  • 13:50〜14:20 会場討論(E-Cash全般)
    講演者+須賀 祐治(IIJ)

14:40〜16:10 セッション3:SSL/TLSの安全性

  • 14:40〜15:10 講演1:RC4に関する一連の攻撃
    大東 俊博(広島大学)
  • 15:10〜15:30 講演2:POODLE attack の現実性
    須賀 祐治(IIJ)
  • 15:30〜16:10 会場討論(SSLv3の安全性)
    講演者+野島 良(情報通信研究機構)

16:30〜18:00 セッション4:セキュリティの信頼獲得へ向けて

  • 16:30〜17:10 講演1:セキュリティの信頼獲得について
    金岡 晃(東邦大学)
  • 17:10〜17:40 講演2:暗号プロトコル評価の理論と可視化
    吉田 真紀(情報通信研究機構)
  • 17:40〜18:00 会場討論(ユーザビリティ×セキュリティ分野の研究)
    講演者+林 卓也(情報通信研究機構)

参加費


参加費は無料です。

ウェルカムパーティー


会場:酒蔵「杉能舎」牡蠣小屋
日時:2015年1月18日(日) 18:00~
会費:5000円

参加申込について


下記の情報を scais[at]ml.nict.go.jp までお送りください。
(上記送り先メールアドレスの [at] をアットマークに置き換えてください)

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お名前:
ご所属:
メールアドレス:
ウェルカムパーティー:ご出席 ご欠席 (どちらかをお消しください)
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主催・共催


九州大学 情報セキュリティ研究室
九州先端科学技術研究所 情報セキュリティ研究室
産業技術総合研究所 セキュアシステム研究部門

実行委員


櫻井 幸一(九州大学/九州先端科学技術研究所
穴田 啓晃(九州先端科学技術研究所
須賀 祐治(IIJ)
縫田 光司(産業技術総合研究所)
林 卓也(情報通信研究機構)

文責:実行委員 縫田 光司
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第6回暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ

12/26(金)に標記のワークショップを開催します。詳細はウェブページをご覧ください。

数学と暗号・情報セキュリティの分野間の連携や相互理解を深めるため、今年は以下の3講演と、参加者によるポスターセッションを行います。参加をご予定の方は事前の参加申し込みにご協力ください。また、ポスターセッションは発表者募集中(12/19締切)ですので、興味をお持ちの方は上記リンク先をご覧ください。

講演概要リスト(敬称略、プログラム順)
  • 安田 貴徳(九州先端科学技術研究所)「群環を用いたNTRUの拡張方式」

    格子ベース暗号のNTRUは多項式環の剰余環を利用した暗号方式である。基本的には、この環を別の環に置き換えても、NTRUと同様の暗号方式を構成することが可能である。但し、復号可能な平文の領域サイズは環の選択に依存しており、どのような環もNTRUの構成に適しているというわけではない。この講演では一般の有限群に対する群環がNTRUの拡張に適していることを説明し、また、群の表現論を用いてその安全性を解析する。

  • 鹿野 豊(分子科学研究所)「量子計算機の基礎と実状」

    1985年に David Deutsch が提唱した量子計算機が、2014年現在、どのような物理的実装がなされているのか?その基本的な理論的アイディアと実装方法およびその展望についてお話しをしたい。

  • 縫田 光司(産業技術総合研究所/JSTさきがけ)「代数系の非可換群への埋め込みと完全凖同型暗号への応用」

    凖同型暗号は、暗号化された状態でメッセージ(平文)に特定の演算を施せる暗号技術である。一般的な傾向として、対応すべき「特定の演算」の種類が多ければ多いほど凖同型暗号の構成は難しくなる。この発表では、平文の集合を非可換群へと埋め込むことで、完全凖同型暗号のように複数の演算を扱う凖同型暗号の構成を単一の演算の場合に帰着する方法論を提案するとともに、具体的な構成の候補を提示する。

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データ更新しました

長らくresearchmapを放置していたのですが、思うところがあってデータを更新してみました。

今回使ってみて気が付いたのですが、業績リストの「外部データ取り込み」でプレプリントサーバ(具体的にはarXivとIACR Cryptology ePrint Archive)に公開中のプレプリント(当然査読無し)の情報を取り込むと、デフォルトでは「査読付き論文」として取り込まれてしまうのですね。見る人が見れば単なる間違いだとわかりますが、一般の方が見たときにあらぬ誤解を受ける(同じプレプリントを両方にアップしていたりするので「査読付き論文の二重投稿」と受け取られる)かもしれないので、研究者の皆様はお気をつけくださいませ。
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「第2回 暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ」

「第2回 暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ」というワークショップを開催します。(2010年12月27日、東京大学数理科学研究科棟大講義室)
「数学」と「暗号・情報セキュリティ」という二つの分野の連携をより深めることを目的としています。興味をお持ちの方は上記リンク先の案内をご覧下さい。
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Accepted: "Distinguishability measures and entropies for general probabilistic theories"

こちらのプレプリント(http://arxiv.org/abs/0910.0994v3)の論文誌投稿版がReports on Mathematical Physicsにアクセプトされました。名前の通り、物理の論文誌です。
これで、数学、情報科学、物理と3分野を制覇(?)したことになります。

私は院生時代、実質的にはCoxeter群の研究しかしていなかった非常に守備範囲の狭い研究者だったのですが、今こうして色々な分野の研究に手を出すようになっているとは当時は想像もしませんでした。(やっていることの中身はどれも結局は数学なのですが・・・。)
ただこうなってみると、学生時代に講義や友人との話の過程で数学の色々な分野に触れていたことが、実は結構大きな財産になっているのだなぁと思います。耳学問でもよいので、若いうちに色々なことを少しずつでも知っておくというのは大切なのだなと実感しています。

・・・まぁ、今だって、10年後の自分から見れば「若いうち」なので、10年後の自分のためにも、これからも色々な数学に触れていきたいものだと思います。
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"Shisyou number"(その2)

さて、先程紹介しましたShisyou numberですが、先日別件で文献探しをするついでにちょっと調べてみたら、今まで8だったものが7に減っていることを発見しました。
現時点での最短記録は以下の通りです。Koji Nuidaが私、Itaru Teradaが私の師匠である寺田至先生です。各項ごとに、関係する著者に下線を引いています。
  1. Takuro Abe, Koji Nuida, Yasuhide Numata,"Signed-eliminable graphs and free multiplicities on the braid arrangement", Journal of the London Mathematical Society (2) vol.80, no.1 (2009) 121--134
  2. Yasuhide Numata, Akihito Wachi, "The strong Lefschetz property of the coinvariant ring of the Coxeter group of type $H_4$", Journal of Algebra vol.318, no.2 (2007) 1032--1038
  3. Hideaki Morita, Akihito Wachi, Junzo Watanabe, "Zero-dimensional Gorenstein algebras with the action of the symmetric group", Rendiconti del Seminario Matematico della Universit`a di Padova vol.121 (2009) 45--71
  4. Hideaki Morita, Hiro-Fumi Yamada, "Higher Specht polynomials for the complex reflection group $G(r,p,n)$", Hokkaido Mathematical Journal vol.27, no.3 (1998) 505--515
  5. Susumu Ariki, Tatsuhiro Nakajima, Hiro-fumi Yamada, "Reduced Schur functions and the Littlewood-Richardson coefficients", Journal of the London Mathematical Society (2) vol.59, no.2 (1999) 396--406
  6. Susumu Ariki, Kazuhiko Koike, "A Hecke algebra of (Z/rZ) $\wr$ Sn and construction of its irreducible representations", Advances in Mathematics vol.106 (1994) 216--243
  7. Kazuhiko Koike, Itaru Terada, "Young-diagrammatic methods for the representation theory of the classical groups of type Bn, Cn, Dn", Journal of Algebra vol.107 (1987) 466--511
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"Shisyou number"(その1)

数学関係か、もしくはそれに近い分野の方であれば、"Erdos number"(「エルデシュ数」)という概念を目にしたことのある方が多いでしょう。
人々の間に「共著で論文を発表したことのある人たち同士を線で結ぶ」という規則で線を引いていったとき、ある人(仮にエヌ氏)のErdos numberとは、エヌ氏からPaul Erdosまで最短で何本の線を通れば到達できるか、を表す量です。例えば、Paul Erdos本人のErdos numberは0、Paul Erdosとの共著論文を発表した人のErdos numberは1、といった具合です。(どうやっても到達できない場合のErdos numberは「無限大($\infty$)」と定義します。例えば、まだ共著論文を1編も発表していない人のErdos numberは$\infty$です。)
これは、Paul Erdosが極めて多くの人と共著の論文を発表したことへの敬意を込めた数学者流のジョークとして、その筋の人の間で話のネタにされ続けてきたものです(そう私は理解しています)。

さて、実は以上の話は、歴史的経緯を除けば基準点がPaul Erdosである必要は無く、エヌ氏から他の誰か(例えばアール氏)までの距離(到達するための最短の線の数)を考えてもよいわけです。
で、最近私は、「エヌ氏からエヌ氏の博士論文の指導教員までの(上の意味での)距離」という量に着目して、その量をエヌ氏の"Shisyou number"と勝手に名付けています。(まだ博士課程を修了していない学生さんであれば、現在の指導教員までの距離を考えればよいでしょう。)この名称は、自分の指導教員を「師匠」と呼ぶ数学分野の(少なくとも、私に近しい数学仲間の)慣習に由来しています。

ここで不思議に思われた読者の方も(その方の分野によっては)いらっしゃることでしょうが、数学分野では、他の色々な分野に存在するような「学生の研究発表の際は指導教員が共著者に加わる」という慣習が基本的に存在しないんですね。もしそういう慣習があったら殆ど全ての数学者のShisyou numberが1になってしまうんですが、幸いにしてそういう慣習が無いので数学分野ではShisyou numberという概念が実際的な意味を持つのです。

エヌ氏が徹底的な単独行動型で共著論文が1編も無ければShisyou numberは当然$\infty$なのですが、もしShisyou numberが有限の値になる程度には多くの共著論文をエヌ氏が発表している場合、大雑把にはShisyou numberが大きければ大きいほど、師匠の研究とあまり近くないテーマで好き勝手に研究している困った弟子(笑)であるという傾向が予想されます。
なので、Shisyou numberが有限でかつ大きな値である、というのはネタ的な意味で一種のステイタスだったりするのですが、Erdosのような強力な「ハブ空港」の存在と三角不等式によって、ちょっと油断するとすぐにShisyou numberが思いの外小さな値になってしまうのです。私自身のShisyou numberも(「その2」をご覧の通り)いつの間にかずいぶん小さな値になってしまって少々残念な思いを感じています。

というわけで、もしShisyou numberが(有限で)二桁以上の値になっている方がおられましたら、是非お知らせくださいませ。私が諸手を挙げて喜びます。

なお、「共著論文」の定義ですが、私のお気に入りは「共著で査読付き論文誌に発表の済んだジャーナル論文」というものです。つまり、RIMS講究録の報告集、LNCS等の国際会議Proceedingsや、ジャーナル論文であってもアクセプト済で出版待ちのものはここでは共著論文に数えないことにします。
この定義はMathSciNetのツールが採用している定義とは異なりますのでご注意下さいませ。
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