共同研究・競争的資金等の研究課題

2005年 - 2006年

戦略的提携において組織間学習を促進する社会ネットワーク資本の構造特性の総合研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
17330086
体系的課題番号
JP17330086
配分額
(総額)
7,400,000円
(直接経費)
7,400,000円

本研究は、複数の企業の間での戦略的提携において事業目的に最適な組織間学習をもたらす構造特性を持つ社会ネットワークを、企業の事業資本となる「社会関係資本(社会ネットワーク資本)」と考えた。そうした代表的な社会関係資本の構造的な特性と機能を整理、明確にし、組織内・組織間での社会的ネットワークの分析手法の研究を行い、代表的な組織間関係の領域での構造と効果をあきらかにすることを目的にして、次の6つを明らかにした。第一に、安田らは、電子メール・コミュニケーションとその内容の分析手法の開発を行い、一定の内容とネットワーク構造形態とが連関しながら、個人の成果に結びつくことを示した。第二に研究開発部門でのイノベーションの研究においては、構造分析手法の重要性と共に、研究開発マネージャーに有効なネットワーク構造があることが示唆された。第三に、ベンチャー企業と産業クラスターの活性化の面で考えると、オルドリッチの言うようによく発達した社会ネットワークがベンチャー企業の知識獲得の重要な資源であるものの、社会的属性がその発展に対して制約要因となっていた。第四に、文化コンテンツ産業においては社会ネットワークにおける結合の強さが業績に影響するとして、映画製作者のネットワークを経時的に構造分析し、強紐帯の方が高業績に結びついていることを実証的に明らかにした。第五に、NPOや社会的企業についての研究成果をレビューし、その組織理論に於いては、既に社会関係資本が理論前提に組み込まれていることを理解した。第六に、日本の自動車産業における系列関係の計量分析を展開し、脱系列化の傾向は一定の形で見られるものの、トヨタなどのアセンブリー企業に応じて、その構造変化は違っていることを計量的に確認した。こうした成果は、『組織科学』第40巻第3号での特集号において公表している。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17330086
ID情報
  • 課題番号 : 17330086
  • 体系的課題番号 : JP17330086