2021年4月 - 2024年3月
PNPLA4機能不全がもたらすミトコンドリア異常症及び乳児突然死の発症機序解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
本研究の目的は、PNPLA4の分子生物学的機能を明らかとし、小児希少難病であるミトコンドリア呼吸鎖異常症の病態を解明することである。PNPLA4は申請者らがミトコンドリア呼吸鎖異常症の新規原因遺伝子として同定した遺伝子であり、本研究でその機能を解明する意義は大きい。PNPLA4の生体内での役割を解明するためにはモデル生物を用いた研究が必要不可欠だが、本遺伝子はマウスでは発現していない。そのため、申請者らはモデル生物としてpnpla4ノックアウトゼブラフィッシュを世界に先駆けて作製し、既に機能解析を進めている。ゼブラフィッシュは世代時間が短く、遺伝学やイメージング解析で非常に優れている。全ゲノム配列はヒトと高い相同性を有し、遺伝子数や主要臓器・組織の発生および構造もヒトとの類似性が高い。本研究を通してPNPLA4の詳細な分子生物学的機能が明らかとなれば、ミトコンドリア呼吸鎖異常症の新たな治療戦略の創出ならびに乳児突然死の発症予防に大きく寄与する可能性がある。本研究では既に、ホールマウントのin situハイブリダイゼーション法の結果から、ゼブラフィッシュ脳及び筋組織においてpnpla4 mRNAの発現が高いことを発見した。また、pnpla4ノックアウトゼブラフィッシュ脳を用いた網羅的脂質解析を実施し、トリアシルグリセロールの代謝異常を示唆する結果を得ている。現在、ゼブラフィッシュの筋組織、及び、PNPLA4ノックダウン細胞を試料とした網羅的脂質解析を実施し、既存の実験結果と照合してPNPLA4標的脂質の絞り込みを行っているところである。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K15860
- 体系的課題番号 : JP21K15860