講演・口頭発表等

2012年10月

黒毛和種の枝肉重量および脂肪交雑についてのゲノム育種価予測に関する検討:50Kおよび770KチップからのSNP選択の影響とその比較

日本動物遺伝育種学会第13 回大会
  • 〇小川 伸一郎
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  • 松田 洋和
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  • 谷口 幸雄
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  • 渡邊 敏夫
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  • 西村 翔太
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  • 高須賀 晶子
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  • 杉本 喜憲
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  • 祝前 博明

記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(一般)

発表者

【目的】ウシ770K SNPチップが開発されたことにより、QTLとより強い連鎖不平衡を示すSNPマーカーをゲノム育種価の予測に利用することが可能となった。本研究では、黒毛和種の枝肉重量および脂肪交雑を対象として、50Kおよび770Kチップからゲノム育種価の予測に有効なSNPの選択を試み、それらを用いた場合の予測性能について検討を加えた。
【方法】肥育牛1,623頭の枝肉重量およびBMSナンバーの記録を用いた。ベイジアンリッジ回帰(BRR)法に依る推定SNP効果の絶対値(選択法Ⅰ)またはベイズB法の事後関連確率(選択法Ⅱ)に基づき、31,249(50Kパネル)および566,141(770Kパネル)のSNPから選択した100~10,000のSNPをそれぞれ用いて、BRRまたはベイズA法によりゲノム育種価を予測した。予測性能の評価は、ランダム3分割交差検証によった。
【結果】SNP選択を行わずに50Kおよび770Kパネルの全SNPを用いた場合の予測性能は、枝肉重量ではいずれのパネルでも同程度ではあったが、脂肪交雑では770Kパネルの方が4%ほど高かった。100のSNPを選択したときには、枝肉重量では全SNPを用いた場合の80%以上の予測性能が得られたが、脂肪交雑では60%程度であった。総じて予測性能は選択法ⅠよりもⅡで高く、その差は枝肉重量よりも脂肪交雑で大きい傾向にあった。枝肉重量ではCW-1、2および3がそれぞれ存在する14、6および8番染色体上のSNPがとくに選択される傾向が認められたが、脂肪交雑ではそのような特定の染色体から集中して選択される傾向は相対的に弱かった。枝肉重量に比べると、脂肪交雑はセグメント当たりの遺伝分散がより均一な遺伝的構造をもつ形質であることが示唆され、ゲノム育種価の予測において所与の予測性能を得るのに必要とされるSNPの数はより多くなると考えられた。