2016年4月 - 2020年3月
森林生態系に沈着した放射性Csの再分配過程と生物群集への影響に関する研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
1. 昨年度に引き続き、これまでに基本的な水・放射性セシウム動態のモニタリングを実施している福島県北部の森林サイト(上小国川源頭部集水域:集水面積14ha)を対象に、放射性セシウム(Cs)移動量観測を実施した。これに加えて、森林サイトより下流の上小国川の沿線で渓岸堆積物の放射線量調査と、放射性Cs濃度の測定を実施した。
2. 上小国川に流入する4つの支流に位置し、森林からの流出水、土砂が流入するため池において、池底堆積物の深度別137Cs濃度、堆積量、池水中の溶存態・懸濁態137Cs濃度を調査した。また、ため池上流部の渓流における137Csの流出量の観測データと比較し、ため池における137Cs収支を明らかにした。その結果、集水域の特性により異なるが、ため池の137Csをトラップする効果は大きくないことが示唆された。池水中の溶存態・懸濁態137Cs濃度は、現在の平常時の渓流水と同程度に低かった。ため池に137Csを保持する粒子状浮遊物質が堆積するのは平常時であり、大規模降雨イベントの際には、大部分の土砂は蓄積せず、流下している可能性があることがわかった。
3. 林冠を構成する葉と枝が持つ137Csの挙動を明らかにすることを目的とし、調査森林の広葉樹二次林と隣接したスギ人工林で行った2012年から2015年にかけて伐倒調査の結果を整理・解析した。その結果、両樹種において枝葉の137Cs濃度は2013年以降に急速に減少することや、調査期間を通じて枝よりも葉の方が、137Cs濃度が高いことなどが示された。
4.2018年12月に、調査対象地である小国地区の住民組織「放射能からきれいな小国を取り戻す会の総会に参加し、調査研究成果を発表し、質疑を受けた。また、福島県内の市民向けの研究成果の公表を、2018年7月に福島県双葉郡広野町、2019年1月に楢葉町で行った。
2. 上小国川に流入する4つの支流に位置し、森林からの流出水、土砂が流入するため池において、池底堆積物の深度別137Cs濃度、堆積量、池水中の溶存態・懸濁態137Cs濃度を調査した。また、ため池上流部の渓流における137Csの流出量の観測データと比較し、ため池における137Cs収支を明らかにした。その結果、集水域の特性により異なるが、ため池の137Csをトラップする効果は大きくないことが示唆された。池水中の溶存態・懸濁態137Cs濃度は、現在の平常時の渓流水と同程度に低かった。ため池に137Csを保持する粒子状浮遊物質が堆積するのは平常時であり、大規模降雨イベントの際には、大部分の土砂は蓄積せず、流下している可能性があることがわかった。
3. 林冠を構成する葉と枝が持つ137Csの挙動を明らかにすることを目的とし、調査森林の広葉樹二次林と隣接したスギ人工林で行った2012年から2015年にかけて伐倒調査の結果を整理・解析した。その結果、両樹種において枝葉の137Cs濃度は2013年以降に急速に減少することや、調査期間を通じて枝よりも葉の方が、137Cs濃度が高いことなどが示された。
4.2018年12月に、調査対象地である小国地区の住民組織「放射能からきれいな小国を取り戻す会の総会に参加し、調査研究成果を発表し、質疑を受けた。また、福島県内の市民向けの研究成果の公表を、2018年7月に福島県双葉郡広野町、2019年1月に楢葉町で行った。
- ID情報
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- 課題番号 : 16H04934
- 体系的課題番号 : JP16H04934