受賞

2017年2月

平成28年度大阪優秀発明表彰 大阪優秀発明大賞

一般社団法人大阪発明協会
  • 大西久男
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  • 野中篤
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  • 中山敏郎
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  • 鈴木卓弥
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  • 岡村誠
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  • 国原健二

タイトル
「電池式ガス警報器用超省電力ガスセンサ」(特許第5240767号)
受賞国・地域
日本

背景と課題)
従来のガス警報器は外部AC電源を必要としていたが、設置上の制約等を解消し普及率の向上を図るため、ガス警報器のコードレス(電池駆動)化が望まれてきた。しかしながら、都市ガスの主成分であるメタンの検知にはガス感応層(SnO2)を400℃以上に加熱する必要があり消費電力が大きくなることから、5年間の長期電池駆動化の実現のためには、センサの抜本的な省電力化(現行の数百分の1以下)を達成する必要があった。
(本発明の特徴)
発明者らは、長期電池駆動可能な世界初の超低消費電力センサの実現を目指し、従来は渾然一体化していたセンサの各機能(検知、選択性制御、加熱・遮熱、構造支持)を機能分離し、各要素機能の最適化開発に取り組んだ。このうち、検知機能を担うガス感応層としてメタンに対して高い感度を発現する新規の「ナノ柱状構造SnO2薄膜」を開発した。また、誤報原因成分となる水素、エタノール、CO等を選択的に燃焼させ、メタンのみを選択的に透過するガス選択燃焼層を開発し、これを積層して素子化することによりメタン高選択性を実現した(図1参照)。更に、このセンサ素子をMEMS技術により微小デバイス化し、検知の瞬間のみ加熱する極短パルス駆動方式を実現することによって、従来の約600分の1以下となる超省電力駆動を実現した。
しかしながら、長期にわたる極短パルス駆動に伴うヒートショックによって経時的にガス感応層とガス選択燃焼層との界面の密着性が低下し、ガス感度が低下してしまうことが実用化の大きな課題となっていた。
発明者らは、ガス感応層に対し新規の微細構造制御を講ずることによってガス感応層とガス選択燃焼層との界面に強固な結合力を生み出しつつ、ガス拡散には影響を及ぼさない技術を考案(図2参照)し、解決が困難と考えられていた前記課題を解決し、電池駆動センサの長期耐久性・信頼性の確立を成し遂げ、2015年5月の世界初の電池駆動ガス警報器を実現した。

リンク情報
共同研究・競争的資金等の研究課題
次世代高信頼性ガスセンサー技術開発
URL
http://www.jiiiosaka.jp/osakayusyujusyou28.html