2020年7月
第19回アジア太平洋記念賞(井植記念賞)本賞
アジア太平洋フォーラム
- 受賞区分
- 国内外の国際的学術賞
- 受賞国・地域
- 日本
【論文の概要】
本論文は、アジア諸国や開発途上地域における「男子の教育不振」に着目し、フィリピンを事例に実証研究したものである。フィリピンは特に男子の教育不振が顕著であり、中でも農村部や貧困層において妥当する。研究結果からは、教育水準が同性親子間で相関している世代間関係と、このような親と子の関係を示す重要な説明変数として母親の就労が特定され、家計動学の中で両性間の複雑な相互作用を示唆する。さらに、男子は同等の女子と比べてもより厳しく成績を付けられているという教師のステレオタイプ的評価の存在も自然実験分析から数量的に示された。総合すると、貧困削減とステレオタイプ緩和を両輪とした政策的解決が急務との含意が得られた。
【選考理由】
研究の着眼点、周到な現地調査、的確な統計分析のどれをとってもレベルの高い研究である。フィリピンにおける男子児童の教育不振、という事例に地域研究の手法で光を当てつつ、人々の社会規範や家庭内の慣習的な役割分担が各家計の教育投資行動にどのように影響を与えるか、といった行動経済学的な問題意識に基づいた分析も行っている点、公開されたデータセットに加え筆者の問題意識に基づいた独自の調査も行っている点なども高く評価できる。
フィリピンの農村地域に3年間滞在し、鋭い観察眼を養い、その上でデータ収集、そして経済学的な質の高い実証研究に基づく実態解析、さらにそれに基づく的確な政策提言をするなどよくまとめられており、アジア太平洋研究賞に値するすぐれた論文と評価できる。
(https://www.hemri21.jp/awaji-conf/project/symposium/2022/19.pdfより抜粋)
本論文は、アジア諸国や開発途上地域における「男子の教育不振」に着目し、フィリピンを事例に実証研究したものである。フィリピンは特に男子の教育不振が顕著であり、中でも農村部や貧困層において妥当する。研究結果からは、教育水準が同性親子間で相関している世代間関係と、このような親と子の関係を示す重要な説明変数として母親の就労が特定され、家計動学の中で両性間の複雑な相互作用を示唆する。さらに、男子は同等の女子と比べてもより厳しく成績を付けられているという教師のステレオタイプ的評価の存在も自然実験分析から数量的に示された。総合すると、貧困削減とステレオタイプ緩和を両輪とした政策的解決が急務との含意が得られた。
【選考理由】
研究の着眼点、周到な現地調査、的確な統計分析のどれをとってもレベルの高い研究である。フィリピンにおける男子児童の教育不振、という事例に地域研究の手法で光を当てつつ、人々の社会規範や家庭内の慣習的な役割分担が各家計の教育投資行動にどのように影響を与えるか、といった行動経済学的な問題意識に基づいた分析も行っている点、公開されたデータセットに加え筆者の問題意識に基づいた独自の調査も行っている点なども高く評価できる。
フィリピンの農村地域に3年間滞在し、鋭い観察眼を養い、その上でデータ収集、そして経済学的な質の高い実証研究に基づく実態解析、さらにそれに基づく的確な政策提言をするなどよくまとめられており、アジア太平洋研究賞に値するすぐれた論文と評価できる。
(https://www.hemri21.jp/awaji-conf/project/symposium/2022/19.pdfより抜粋)
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