2016年4月 - 2020年3月
エクソソームを指標とする体液診断型口腔癌予後予測法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
抗EGFRモノクローナル抗体であるセツキシマブは、癌細胞のEGFRと結合することで抗癌作用を示す有用な抗癌薬であるが、セツキシマブ耐性症例が報告されている。近年、癌細胞が放出する細胞外小胞(EV)が抗癌剤耐性に関与することが明らかとなってきたが、口腔癌の放出するEGFR含有細胞外小胞(EGFR-EV)とセツキシマブの関連性についての報告はほとんどない。そこで、口腔癌細胞株HSC-3が放出するEGFR-EVがセツキシマブ排出に関与している可能性を考え、HSC-3が放出するEVとセツキシマブの関連性について研究を行った。
HSC-3を無血清培地で培養し、EGFおよびセツキシマブを添加した条件で行った。上記の培養上清からEV抽出試薬を用いてEVを回収し、回収したEVを粒子径分布解析、電子顕微鏡解析およびウェスタンブロッティング(WB)解析により評価した。セツキシマブの抗癌作用に関しては細胞形態変化および悪性性質変化を検討した。粒子径解析では、160nmの範囲に粒子が存在し、電子顕微鏡解析では脂質二重膜に囲まれた球形の粒子が確認でき、EVの定義と一致した。HSC-3ではEGF刺激によりEGFR-EVの放出が促進された。セツキシマブを投与すると、EV放出量に変化は見られず、EV画分にセツキシマブが検出された。細胞形態変化および悪性性質変化が誘導されたHSC-3にセツキシマブを投与すると、細胞形態変化および性質変化は認めず、効果は不完全であった。同条件の上清からEVを回収し、WB解析を行ったところ、EV画分にセツキシマブが検出された。
上記の結果から、HSC-3はEVを介してセツキシマブを排出する可能性が示唆された。本研究は、口腔癌細胞のセツキシマブ排出機序の一部を解明した初めての報告であり、今後の癌治療における臨床応用への手がかりとなる重要な知見を含んだ内容である。
HSC-3を無血清培地で培養し、EGFおよびセツキシマブを添加した条件で行った。上記の培養上清からEV抽出試薬を用いてEVを回収し、回収したEVを粒子径分布解析、電子顕微鏡解析およびウェスタンブロッティング(WB)解析により評価した。セツキシマブの抗癌作用に関しては細胞形態変化および悪性性質変化を検討した。粒子径解析では、160nmの範囲に粒子が存在し、電子顕微鏡解析では脂質二重膜に囲まれた球形の粒子が確認でき、EVの定義と一致した。HSC-3ではEGF刺激によりEGFR-EVの放出が促進された。セツキシマブを投与すると、EV放出量に変化は見られず、EV画分にセツキシマブが検出された。細胞形態変化および悪性性質変化が誘導されたHSC-3にセツキシマブを投与すると、細胞形態変化および性質変化は認めず、効果は不完全であった。同条件の上清からEVを回収し、WB解析を行ったところ、EV画分にセツキシマブが検出された。
上記の結果から、HSC-3はEVを介してセツキシマブを排出する可能性が示唆された。本研究は、口腔癌細胞のセツキシマブ排出機序の一部を解明した初めての報告であり、今後の癌治療における臨床応用への手がかりとなる重要な知見を含んだ内容である。
- ID情報
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- 課題番号 : 16K11722
- 体系的課題番号 : JP16K11722