基本情報

所属
愛知大学 法学部 教授 (政治学・比較政治制度分析 / カナダ・旧英領諸国)

連絡先
okadakentarojpyahoo.co.jp
研究者番号
50641255
J-GLOBAL ID
201801005094302811
researchmap会員ID
B000301323

外部リンク

主な研究関心については左上の「研究ブログ」にあります。

 最近は、カナダやオーストラリアといった旧英領諸国の政治やデモクラシーにおいて、立憲君主制が果たす役割について関心を持っています。かつてのオーストラリアでのカー総督によるウィットラム首相解任事件(1975年)やカナダでのビング総督によるキング首相解任事件(1926年)はいずれも少数与党時代に生じた事件でしたが、あくまでも過去の出来事として、現実には今後起こりえないこととしてこれまで語られてきました。しかし21世紀に入ってから、旧英領諸国では連邦議会や州議会で過半数を制する政党が存在しない、いわゆる「宙づり議会(ハング・パーラメント)」が頻発し、結果として国王の名代である連邦総督や州総督が実質的な政治的裁定を下さざるを得ない状況が生じています。旧英領諸国の研究者のあいだでは、このような状況を共同で比較分析しようとする機運も生まれており、わたし自身もこれらの研究グループの成果に注目しながら研究を進めています。

 そもそも君主制が旧宗主国イギリスからの、いわば「借り物」であるといってよい旧英領諸国において、こういった問題が生じているのがきわめて興味深い点です。「借り物」だった立憲君主制に由来するさまざまな政治制度が新大陸において政治的に実質化し、それぞれの国で独自の制度的進化を遂げているようにも思われ、そしてそれがまた、旧宗主国イギリスとも異なる政治的文脈で使われるようになっている点を、事例を示しながらうまく表現・説明できないかと考えています。

 このような観点からの研究については、下記業績リスト中の「カナダにおける解散権」論文(生活経済政策)などで簡単に触れています。また、ハング・パーラメント状況における首相の任命とその際のカナダ立憲君主制(連邦総督・州総督)の役割については、下記業績リスト中の「ハング・パーラメント状況下での政権形成におけるカナダ立憲君主制の役割と作用 -近年のカナダにおける選挙を事例に-」(カナダ研究年報) で分析しており、この論文では、カナダ西部ブリティッシュ・コロンビア州での2017年州議会総選挙のケースを中心に考察しています。(2022年1月27日加筆)

 カナダ立憲君主制のシンボルである連邦総督をめぐっては、その突然の辞任を事例に考察した「ジュリー・ペイエット総督の辞任とそのカナダ政治への影響をめぐって──カナダ立憲君主制に関する一考察──」(愛知大学法経論集)があります。君主制国家の場合、仮に国王が急死してもその権威は間断なく継続し次世代に受け継がれます。これはイギリスの法諺でいう"the King Never Dies."ということなのですが、当然のことながら、国王の代理である旧英領諸国の総督にはこの法諺は当てはまりません。そのことを前提としたうえで、それでもペイエット総督が突然辞任したことによって生じた、カナダ立憲君主制にかかわる新たな論点、これまで想定されていなかった論点についてまとめています。(2022年3月3日追記)

 なおこれらの研究を進めるに際して、(素人であることは重々自覚しつつ)日本の象徴天皇制との比較も念頭に置いています。ただ、茶谷誠一先生の「象徴天皇制の君主制形態をめぐる研究整理と一考察 : 国法学的方法論と「君主制の歴史的・社会的機能」論の視角から」(成蹊大学文学部紀要)などを読みながらふと思ったのですが、西欧・旧英領諸国の「立憲君主制」と日本の「象徴天皇制」は、何か根本的に異なるのではないかという気もしています。象徴天皇制イコールConsutitutional Monarchyではないようにも思い、それなら象徴天皇制の英訳語はなんだろうなどとも考えています。(2022年3月3日追記)

 


研究分野

  1

書籍等出版物

  5

論文

  12

MISC

  14

講演・口頭発表等

  14

共同研究・競争的資金等の研究課題

  13

社会貢献活動

  4