共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

天敵温存植物による給餌効果の物質基盤解明

独立行政法人日本学術振興会  科学研究費助成事業・基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K06064
体系的課題番号
JP20K06064
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

天敵温存植物の候補となる植物種について、それらの花の天敵に対する給餌効果を実験室内で評価した。天敵のモデルとして寄生蜂コナガサムライコマユバチで試験を行った。飼育室で当日に羽化したばかりの本寄生蜂の成虫を準備しておき、温室で栽培した植物から花を採取して水に挿し、これらを未交尾の雌雄各10頭毎に与えて生存期間を調査した。水に挿した花は十分な数を毎日あるいは数日毎に取り換え、適宜、水を補充した。比較対照として、蒸留水で希釈した蜂蜜液を染みこませた綿を与えた場合(陽性対照)や、蒸留水のみを染みこませた綿を与えた場合(陰性対照)の生存期間を調べた。
この試験の結果から、寄生蜂の生存期間に与えた効果によって ① 蜂蜜液を与えた場合と遜色なく、或いはそれ以上に寄生蜂が長期間生存できる花、② 蒸留水のみを与えた場合よりも長く寄生蜂が生存できるが、蜂蜜液を与えた場合よりも生存期間が短くなる花、③ 蒸留水のみを与えた場合と寄生蜂の生存期間がほぼ同じか、それよりも短期間に死亡する花、に大きくグループ分けすることができた。特に、蒸留水を与えた場合よりも短期間に寄生蜂が死亡した花では、花蜜に毒成分が含まれていると考えられ、これらは盗蜜者や害虫に対しても同様の効果があると推測される点でとても興味深い。
花蜜に含まれる糖の濃度を簡易的に糖度計で測定したところ、ほぼ同じ糖濃度であっても、寄生蜂の生存期間が長くなる花と、逆に生存期間が短くなる花があった。今後、花蜜の詳細な化学分析によって、これらの違いが花蜜を構成する糖の異なる組成によって生じたものなのか、または、糖以外の成分が寄生蜂の生存期間に影響したのかなどが明らかになってくると期待される。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K06064
ID情報
  • 課題番号 : 20K06064
  • 体系的課題番号 : JP20K06064