共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

脊髄運動ニューロン固有のRNA制御プログラムとALS病態の関連

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
19H03543
体系的課題番号
JP19H03543
配分額
(総額)
16,250,000円
(直接経費)
12,500,000円
(間接経費)
3,750,000円

本研究は、運動ニューロンに特徴的な発現を示すRNA結合蛋白質を選別し、得られたRNA結合蛋白質を機能解析をする事で、脊髄運動ニューロン固有のRNA制御プログラムを解明し、その生理的機能及びALSなどの運動ニューロン病の病態との関連性を明らかするものである。我々は、これまで約1500種類存在すると言われるRNA結合蛋白質の中で、Qki5蛋白質が運動ニューロン特異的な発現を示す唯一のRNA結合蛋白質であることを見出した。次に、我々が行ってきた生体内RNA結合蛋白質機能解析戦略である1塩基解像度の蛋白質-RNA相互作用マッピング解析HITS-CLIPとRNAシーケンス技術にマウス遺伝学を組み合わせた解析を実施し、脊髄運動ニューロン固有のRNA制御プログラムを解明し、Qki5の生理的機能及び病態との関連性の解析を進めている。これまでに、発生段階および成体の脊髄における免疫組織学的解析を行い、Qki5蛋白質が神経細胞の中で運動ニューロンにおいてのみ発現する特徴的な発現パターンを有していることが明らかとなった。さらにヒトiPS細胞由来神経細胞を用いたシングルセルトランスクリプトーム解析を行ったところ、免疫組織学的解析で得られた特徴的なパターンと一致し、Qki5の発現は、運動ニューロン特異的分子isl-1遺伝子と同じクラスターに存在していることが明らかとなった。さらに、Qki5のHITS-CLIP解析およびQki5をノックダウンさせた運動ニューロンを用いたトランスクリプトーム解析を実施し運動ニューロン固有の標的下流RNA群の探索を行い、新たなQki5の標的遺伝子群や新規のCryptic exonの発見、また運動ニューロン変性と密接に関わる標的遺伝子群を同定することができた。運動ニューロン特異的CreドライバーマウスとQk遺伝子のコンディショナル欠損マウスを交配し、分子生物学的解析、組織学的解析および行動学的解析による表現型解析を進めている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19H03543
ID情報
  • 課題番号 : 19H03543
  • 体系的課題番号 : JP19H03543