大江 一平

私の研究テーマは、憲法の制定・改正・変遷といった憲法の変動をめぐる議論です。人民主権に基づく生ける憲法論を主張するイェール大学のB・アッカーマン教授（Bruce Ackerman）の二元的民主政理論（Dualist Democracy）をはじめ、コモン・ロー（慣習法）に基づいて漸進的に生ける憲法が形成されるとするD・ストラウス（David Strauss）教授等の議論に重点を置いて研究を遂行しています。これまでの研究で、アメリカの生ける憲法論の意義は、憲法条文や判例だけでなく、慣習や伝統を考慮し、さらには、連邦議会、大統領、連邦最高裁の三権による憲法解釈の相互作用を重視する点にあり、日本における憲法変遷の法的性質を分析する際にも有用であることを明らかにしてきました。また、上記の研究成果をベースとして、日本における外国人の法的地位をめぐる問題や、大学におけるシティズンシップ教育のあり方についても考察を行っています。