研究ブログ

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AoIR Internet Research Ethics ガイドラインを翻訳しました

冒頭加筆:AoIR IRE 3.0の翻訳と関連する私たちの研究報告へのリンクを追加しました。

Association of Internet Researchers(AoIR)は、インターネットを研究の場とするさまざまな研究者が集まる学会です。この学会では、2002年、2012年、2019年にインターネット研究の倫理ガイドラインを発表しました。

インターネット上のテキストや写真、イラストなどは、の著者や投稿者との関係が一般的な出版物に掲載されたものとは異なる倫理的期待を持っていたり、インターネット上の「場所」が公の場所なのか私的な場所なのか、立場によってその期待が変わったりします。こうしたさまざまなインターネット上の倫理的期待に配慮しながらインターネット研究を進めるための倫理ガイドラインです。とくに、人文学・社会科学的な研究を念頭に置いた倫理ガイドラインです。

私たちは、2017年から科研費を利用して、インターネット研究倫理のガイドラインについて研究をしてきました。調査を進めてみて、まずは、上記の学会の倫理ガイドラインを翻訳紹介して、議論を行っていくことがよいだろうということで、欧州の研究倫理審査に関する標準化提案(SATORIproject)の検討などと並行して、上記の3つのガイドラインの翻訳を進めました。AoIRインターネット研究倫理ガイドラインは、以下IRE(Internet Research Ethics Guidelines)と呼びます。

AoIR IREのホームページは、下記の通りです。
AoIR: Ethics

IRE 1.0 (2002年)およびIRE 2.0(2012年)、IRE 3.0(2019)の私たちによる試訳は、このウェブで公開します。ただし、現在IRE 3.0は、インターネット技術に関する部分について、ネットワーク管理に通じている情報倫理学者に目を通してもらっていますので、2022年9月末に公開を予定しています。(2022年9月27日追記:確認が終わりましたので、IRE 3.0も公開します)

AoIR 1.0 IRE  AoIR1.0JtransSep2022.pdf

AoIR 2.0 IRE  AoIR2.0JtransSep2022.pdf

AoIR 3.0 IRE AoIR3.0JtransSep2022.pdf

インターネットを研究の場とする研究者や、情報倫理学に関心を持つ方々、インターネット研究にかかわる研究倫理審査を行う方々など、幅広い方々のコメントをお願いいたします。

コメント等は、本記事への「コメント」欄にいただくか、ootani@kiui.ac.jpまでいただければ、幸いです。

いただいたコメント等については、このブログで公開し、一定期間経過後翻訳にコメント等にもとづく修正を反映させて改版していく予定です。

本翻訳に関連する学会研究発表は、下記の通りです。
大谷卓史・壁谷彰慶・西條玲奈・神崎宣次・大澤博隆・久木田水生(2021)「意思決定支援としての研究倫理-AoIR倫理ガイドラインの原則と倫理分析-」『信学技報』SITE2021-33, 183-189.

ブログを移す場合などはまた表示いたします。

なお、IREの著作権に関しては、次の通りです。

AoIR IRE 1.0は、情報倫理学者のCharles EssとAoIRに著作権がありますが、インターネット研究に関する考察や議論、教育のためにパブリックに文書にアクセスできるよう公開したこと、そして「フェアユース」利用に関しては問題がないと表示があります。非営利の翻訳・ネットでの公開はフェアユースに該当すると考えます。

AoIR IRE 2.0とIRE 3.0は、クリエイティブコモンズライセンス国際4.0のCC BY-NC-SAにしたがって利用することを許諾しています。ですので、この試訳に関しても、CC BY-NC-SAで公開をいたします。

なお、本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金基盤(B)「インターネット研究倫理の構築-倫理問題の考察と倫理ガイドラインの提案」(18H00608)の助成を受けた研究成果の一部です。

本科研費の研究分担者は、大澤博隆(慶應義塾大学)、神崎宣次(南山大学)、久木田水生(名古屋大学)、西條玲奈(東京電機大学)です。また、研究協力者は、壁谷彰慶(東洋英和女学院大学)です。研究期間終了後、吉永敦征(山口県立大学)の協力を得ました。該当する翻訳に、それぞれ著者の表示をしています。

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