2017年3月
当院における子宮鏡下粘膜下筋腫核出術後の妊娠分娩予後の検討
東海産科婦人科学会雑誌
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- 巻
- 53
- 号
- 開始ページ
- 337
- 終了ページ
- 343
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 東海産科婦人科学会
当院では子宮粘膜下筋腫に対して、低侵襲である子宮鏡下粘膜下筋腫核出術(TCR)を行ってきた。一方でTCR後の子宮内膜欠損や筋層の菲薄化により、術後の妊娠例に癒着胎盤などの胎盤異常や子宮破裂といった重篤な合併症も報告されている。2008年5月から2015年7月の間に当院でTCRを施行した49例のうち、術後妊娠が成立し当院で周産期管理を行った5例について、手術所見と妊娠分娩予後を後方視的に検討した。手術時の年齢中央値は31歳、摘出筋腫は全例1個であった。手術時の筋腫最大径の平均値は2.5cmであり、2例は偽閉経療法にて縮小が得られていた。手術時間は平均37.3分であり、筋腫最大径が大きいと手術時間が長い傾向にあった。全例で術中術後に明らかな合併症を認めなかった。妊娠時の年齢中央値は35歳、手術時に挙児希望のあった2例は術後半年以内に妊娠が得られた。術後に不妊治療を要した例はなかった。5例全例において正期産となり、分娩方法は経腟分娩2例、帝王切開3例と帝王切開率が高かった。帝王切開の適応はそれぞれ、2回のTCRによる筋層菲薄化、骨盤位、軟産道強靱症であった。経腟分娩の2例中1例に弛緩出血がみられた。前置胎盤などの胎盤位置異常はみられなかった。筋腫核出部位と胎盤付着部位が一致していたのは2例であり、ともに癒着胎盤などの胎盤異常はみられなかった。子宮破裂はみられなかった。5例全例で妊娠経過は良好であり、重篤な合併症は認めなかった。TCRは挙児希望のある子宮粘膜下筋腫症例に対して、今後も積極的に施行できると考えられた。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0915-7204
- 医中誌Web ID : 2017203838